医師にして史上最年少、第49代文科副大臣・今枝宗一郎を爆誕させた教育の秘密 社会性のある夢を見る、真のキャリア教育とは

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探究学習、キャリア教育、総合的学習の重要性

重子:中身?

今枝:例えば5教科とかありますけど。やっぱりあれ、全然駄目かなって。好きでも嫌いでもないし、ほかにやるべきことはたくさんあるのに、やらなきゃいけないからやるしかない。例えば医師になるという目標を叶えるためには、数3、数Cをやりたくなくてもやらなきゃいけないわけですよ。気合で、超苦手なことを超大量の工数を割いてやる。でも、別に5教科がずっとある必要はないし、次の世代にも引き継ぐ必要があるのかな、と。一方で総合学習の時間は、昔は必要だと言われてなかったわけですよ。

重子:それを考えていたのは、何歳のとき?

今枝:15歳か16歳のときです。当時、文科省にも僕と同じマインドを持っているような変わった官僚の人がいて、一緒にコラボしてシンポジウムみたいなことをやったりもしました。そのうち、「総合学習」の時間ができてきて、現在の「探究の時間」に進化、その中でさらに「キャリア教育」という話になっていったんですよね。キャリア教育といえば、僕自身も、学生時代に、いろいろな大人と会ってきました。

重子:それは大事ですね。

今枝:夏休み期間中には、サマーセミナーという体裁で、生徒や、生徒の父母、学校の先生や、市民の方々など、誰でもが“教える側”にも“学ぶ側”にもなれる、そういう夢の学校みたいなことを、愛知県で実行委員としてずっとやっていました。類似のイベントをほかにもやっていて、いろいろな人をゲストで呼んだりとかやっている中で、総合学習の時間でこういうコンテンツがあったらいいよね、みたいなことも思っていました。

重子:「キャリア教育」とか、「総合的な学習の時間」の重要性を、学生のときに気づいて訴えたっていうのはものすごく大きいことだし、VUCAの時代にはますます求められていくと思います。これ以上、「非認知能力格差」を広げないためにも、どんどん変わっていってほしいですね。宗ちゃんは今後の日本の教育は、どんなふうに変えていきたいと思いますか?

※VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った造語で、物事の変化が激しく不確実で、先行きが不透明であり、将来の予測が困難な状態を指す造語。

非認知能力の高い二人の対談は、パッションとアイデアが止まらない

今枝:どんなふうに変えていきたいか、やるべきことはもう結構決まっていて、やる方向性ではあると思います。ただ、なかなか、質の高い探究総合学習であったり、キャリア教育だったりを現場で実施するのは難しいというところはあるでしょう。こういったものの重要性の認識が広まってきつつあるものの、現場の先生は、そういう教育まで受けてないから(何をすればいいのか)イメージしにくいということがあります。一番大変なのは先生でしょうね。

重子:まさにそれが実践に落とし込むための大きな壁ですね。

今枝:実は、医者の先生と学校の先生ってすごく似ているところがあって、どちらも日々研鑽なんですよ。つねにアップデートしながら、人に対して、ものすごい責任をもってやっていくっていう意味で、とても近いところがある。さらにどちらも、超忙しいっていうのが大問題としてあって、研鑽を積み切れないんですよね。だから、新しいことをやりたくても、手間も準備時間もかかるし大変で、なかなかやりきれないみたいなところがある。

そのために、先生たちの働き方改革を進めていて、頑張った人たちにきちんとした待遇を提示できるように、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の教職調整額について、50年ぶりの改正が行われようとしている。月給の上乗せ分を10%以上というのを政府全体としては決めて、財務省と折衝しようとしていますね。

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