再エネ連合が指摘「日本は電力コストが不透明」 日本は再エネの普及が遅れ、企業競争でも不利に

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――日本では政府や産業界の間で、ゼロエミッション電源としての原子力発電に頼ろうという機運が再び高まっています。

日本でも包括的なアプローチを取ってもらいたい。つまりライフタイムコストを勘案したうえで電源構成を考えてほしい。その意味では、風力発電と太陽光発電が最も安価に導入できるエネルギー源であることは確かだ。

――しかし日本は国土が狭く、再エネの適地が少ないとも言われます。また、変動性をカバーするために、火力発電も必要だと言われています。

Ollie Wilson/クライメート・グループRE100およびエネルギー事業責任者。クライメート・グループ在籍以前は、さまざまなNGOや社会的企業で気候キャンペーンに従事。WWFやFoE(Friends of the Earth)では電気自動車やエネルギー効率、ネットゼロ目標に関するキャンペーンを主導した(写真:クライメート・グループ提供)

土地の利用に制約があるのは、日本に限ったことではない。再エネのメリットの一つは、適用可能性が広いということ。工場やビル、住宅の屋根、駐車場といった既存のインフラに設置できる。洋上風力発電だけでも日本のエネルギー需要の約1.7倍のポテンシャルがある。これに太陽光発電や陸上風力発電を加えると、日本のポテンシャルはさらに大きい。

また、世界的には、再エネのほうが原子力発電よりも安価であると世界的に指摘されている。ここ十数年のコスト曲線を見ると、再エネのコストは減少し続けているのに対して原子力は年々上がっている。これには建設に要する時間だとか、安全対策の費用などが理由となっている。

日本は電力コストの透明化が急務

――日本で再エネ導入を加速していくためには何が必要でしょうか。

先ほど述べた3倍にする目標の設定のほかに、再エネ電力の費用対効果を高めるため、電力コストの透明化と公正化を推進するようにRE100では日本政府に求めている。

日本市場では電力コストに関する情報が不足しており、再エネとほかの電源とのコストの比較を容易にできない。また、日本では政府が主導してエネルギーの価格を決定する傾向がある。

また、日本では発電事業者と需要家の間での電力購入契約(PPA)を締結するうえでの障壁がある。PPAの増加は再エネ利用を伸ばすうえでの触媒のような役割を果たしているが、日本ではまだPPAの実績が少ない。プロセスが複雑で透明性が低いためだ。

そこでRE100では日本政府に対して、PPAの契約締結および開始を促進するために、明確なガイドラインの作成を求めている。PPAの場合、契約期間が15年といった長期にわたるため、ガイドラインの存在は不可欠だ。日本政府にはぜひとも前向きに取り組んでほしい。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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