再エネ連合が指摘「日本は電力コストが不透明」 日本は再エネの普及が遅れ、企業競争でも不利に
――どこに原因があると考えられますか。
政府の野心および方向性がまだまだ不明確だ。日本政府は石炭火力発電所で(発電時にCO2の排出をしない水素燃料の一種である)アンモニアの混焼を推奨しているが、化石燃料の割合を下げるための具体的な計画を持っていない。他方で再エネ発電の事業者や投資家に、再エネを力強く推進させるための明確なメッセージがない。
そこでRE100では日本のエネルギー政策に対する提言を2024年6月に発表し、「再エネ発電容量を遅くとも2035年までに2022年比で3倍にする目標を設定すること」などを求めている。
先ほど述べられたように、日本でのRE100加盟企業の再エネ比率は25%にとどまっている。加盟企業の世界全体での再エネ比率は約50%であり、その半分だ。日本は世界でも1、2位を争う「再エネを調達しにくい国」となっている。
世界の大手企業の間では、再エネ100%を目指すことが当然のことになっている。日本企業が100%を達成するには、投資家やエネルギー供給企業などのステークホルダーを巻き込まなければならない。日本ではそうした取り組みが難しいという状況が不利な点になっている。
IT企業も鉄鋼メーカーも再エネを求めている
――IT企業の実情はどうでしょうか。
生成AIの開発が進み、データセンターのニーズが高まると、エネルギーの需要は増える。IT大手としては、再エネ由来の電力を調達できる場所で事業を展開したいと考えている。そこでIT大手はRE100に加盟し、再エネ100%目標にコミットしている。再エネを求めているのは、鉄鋼業などの素材産業も同様だ。
――火力発電のあり方についてお聞きします。先ほど、石炭火力発電へのアンモニア混焼や、ガスを含めた火力発電から発生したCO2を回収・貯留するCCSと呼ばれる技術に、日本政府や日本のエネルギー企業は活路を見出そうとしています。こうした戦略に勝算はありますか。
日本を除くG7諸国は、石炭火力発電をできるだけ早期に廃止しようとしている。日本も同じ方向に向かうべきだ。アンモニア混焼は石炭火力を使い続ける時期を長引かせることになる。コストも高くつく。
CCSについても同様だ。これまで40年くらいの開発の歴史があるが、あまり進歩を遂げていない。CO2の捕捉率に課題があるうえ、コストも非常に高い。CCSはコンクリート製造などCO2排出量そのものの削減が難しい分野では利用できる可能性はあるが、電力分野ではあまり効果的ではない。
日本としてもやはり、再エネに投資をもっと振り向けていくべきだ。再エネはもっとも安く電力を入手できる手段であり、国際エネルギー機関(IEA)も太陽光発電について、市場で最も安価な電力の調達手段だと述べている。
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