「ビットコイン1400万円」が示唆する時代の転換点 現物ETF承認にUSDT台頭、さらに「トランプ期待」

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シカゴ市の退職年金基金やジャージー市の年金基金、ウィスコンシン州投資委員会など、従来はビットコインに関与していなかった投資家層が購入を進めた。結果として、ビットコイン購入の主役は個人投資家から機関投資家へとシフトしつつある。

機関投資家の参入はビットコイン価格の安定にも寄与する。ビットコイン現物ETFの普及が進むことで、ビットコインはより一層幅広い層からの支持を集め、さらなる価格の安定と市場の成熟が期待される。

今年起きた市場の変化で、現物ETF承認のほかにもう1つ注目したいものがある。ステーブルコイン(価格の安定性を実現するように設計された暗号資産の一種)の台頭だ。

法定通貨型ステーブルコインは、発行者が法定通貨や債券を裏付け資産として持つことで、その価値が一定に保たれるよう設計されている。代表的なのがテザー社の発行するUSDTだ。1USDT=1ドルとするためにテザー社は主に債券を保有している。

USDTの発行量増加も後押し

USDTの発行総額は1230億ドル(約18.5兆円)。ユーザー数は世界に3.5億人おり、主にビットコインなどの暗号資産の購入、国際送金やクレジットカードのプリペイドチャージ決済などに用いられている。

発行総額は、ステーブルコインが一躍注目を浴びた2019年時点で3億ドルだったが、この5年で大幅に増えている。

時価総額規模はビットコイン、イーサリアムに次いで暗号資産の中で3位。ビットコインとは13倍の差があるが、イーサリアムとは3倍の差となっている。

USDTの時価総額推移

テザー社の2023年の収益は62億ドル(約9300億円)で、世界有数の投資会社であるブラックロックの同年収益55億ドル(約8250億円)を上回った。2024年上半期には、史上最高となる52億ドル(約7800億円)の収益を上げた。

先述したようにテザー社はUSDTの裏付け資産として主に債券を保有している。多くを占めるのはアメリカ財務省短期証券(Tビル)だ。同社はこれらを運用して収益を得ている。

現在、アメリカの利下げ政策に伴い長期金利が上昇し短期金利との差が広がっている。この長短金利差を利用した運用で、テザー社の収益力が一層高まる好循環に入っている。

収益の増加により、テザー社はUSDT発行量をさらに拡大することが可能となっている。世界的にはビットコインを購入する場合、6割以上がステーブルコイン経由だといわれている。

ステーブルコインの代表格がUSDTだ。ビットコインにとってはこれも追い風となっている。

西山 祥史 クリプトアナリスト

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にしやま よしふみ

1989年生まれ。地銀で資金運用業務に携わった後、クリプトアナリストに転じる。ビットコインとの出会いは2011年12月の大学時代。将棋アマ三段。X上で「仮想NISHI」@Nishi8maruとして情報を日々発信中。

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