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唯物史観では他者に献身的になれる人を作れない 佐藤優の情報術、91年クーデター事件簿79

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「ブレジネフ(書記長)は現実主義者だ」と、ロシア共産党第2書記だったイリイン氏は言って、こう続けた。

「ブレジネフには、資本主義は人間の物欲(ヴェシズム)を昂進(こうしん)させるシステムであることがよくわかっていた。人間の欲望にはさまざまなものがある。物欲以外にも名誉欲、知識欲、あるいは真理を追究する欲望もある。平和な世界を建設したいという欲望もある」

──おっしゃるとおりです。

「資本主義はその中で物欲だけを突出して昂進させる傾向がある。しかしソ連においては物欲の昂進に限界があった。ルーブルがドルや円など資本主義国の貨幣と異なっていたからだ」

赤いマールボロが「一般的等価物」に

──どういうことでしょうか。

「ルーブルでは望む商品に交換することができない。例えばルーブルでトヨタの乗用車を買えるだろうか」

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