貿易決済が混迷!「暗号資産」に手を出すプーチン 輸入が停滞するロシアの弥縫策に勝算はあるか

✎ 1〜 ✎ 31 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 34
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また11月1日に発効する法律では、暗号資産の採掘(マイニング)が合法化されるようだ。とはいえ、マイニングには大量の電力を必要とするため、他の経済活動が圧迫される恐れがある。そのため、基本的にマイニング事業は登録制で行われるとともに、事業者は中銀や財務省など複数の政府機関による厳しい監視を受けるもようである。

マイニング奨励で税収確保という目論見

政府のコントロール下で暗号資産のマイニングを奨励するロシアの意図は、税収を確保することにあるのだと考えられる。ロシアは2025年から増税を予定するなど、ウクライナとの戦争の長期化で、財政に余裕がなくなっている。マイニングによって事業者が多額の収益を得ることができれば、政府もまた多額の税収を得ることができる。

マイニングを伴う暗号資産の代表的な存在はビットコインだ。1回のマイニングの成功報酬は定額のビットコインであるため、事業者は上げ相場であればアメリカドルなどに交換することで多額のマイニング報酬を得ることができる。一方、ビットコインには発行上限が2100万枚という発行上限が設定されており、マイニングを無限に行うことはできない。

それにビットコインの成功報酬は、4年に一度、半減する。2024年はその半減期に当たり、4月20日から1回のマイニングの成功報酬は3.125ビットコインとなったばかりだ。加えて相場が下落すれば、マイニングで得られる報酬もアメリカドルなどの法定通貨に換えれば減少する。そのため、マイニング事業が安定した税収源になるとはいえない。

次ページアメリカは暗号資産の制裁を検討へ
関連記事
トピックボードAD