開業1周年「宇都宮ライトレール」の未来と課題 利用者多く延伸にらむが、足りないインフラも
現行の芳賀町のデマンドタクシー(ふれあいタクシー「ひばり」)については、町内全域を運行エリアとし、工業団地周辺からの利用も可能で、地域全体をカバーしている。しかし、芳賀・高根沢工業団地のトランジットセンターは、宇都宮芳賀ライトレール線の停留場と、片側2車線の大通りの交差点を挟んだ向かい側にあり、雨の日や高齢者の移動などを考えると、あまり便利な場所とはいえない。今後は、これら2つをつなぐ案内や、人道の確保が必要になってくると考えられる。少し大掛かりになるが、地下通路の新設なども検討の余地があるかもしれない。
また、ジェイアールバス関東の作新学院高校・JR宇都宮駅と茂木町を結び、途中、芳賀・高根沢工業団地のトランジットセンターを経由し、真岡鐵道の市塙(いちはな)駅を結ぶ路線に関しても、一部区間をコミュニティバス化することによって、地域住民の交通に対する意識が向上され、よりよい交通体系ができることを、期待したいところである。
マイ・レールという位置付けが、周辺の交通環境を活性化させ、地域全体の経済効果を生むことは、宇都宮芳賀ライトレール線の宇都宮市側で、すでに実証済みだ。今後は芳賀町側でも、よい相乗効果が出ることを期待したい。
さらに、宇都宮芳賀ライトレール線の駅西側への延伸については、宇都宮駅東口から教育会館付近までの区間を整備区間とし、2030年代前半の開業を目指して、各種検討を進めている。
今後の展開などについて、同じく軌道整備事業者である宇都宮市LRT整備課協働広報室の担当者にも話を聞いた。
――宇都宮駅から西側の整備について、工事着手までの今後の見通しは。
「2025年度の軌道事業の特許申請、2030年代前半の開業を目指し、現在、大通りの道路空間再編などについて検討し、道路管理者などの関係機関との綿密な協議・調整や、まちづくり関係団体との丁寧な意見交換を実施しているところです。引き続き、早期に駅西側の整備に着手できるよう、取り組んでいきます」
――清原地区市民センター前での乗り換え(フィーダーバス)の整備など、今後の展開など、どのように考えているか。
「宇都宮芳賀ライトレール線の開業と合わせて、宇都宮芳賀ライトレール線と重複するバス路線の車両や運転手などを最大限活用し、バス事業者と協議・調整を行いながら、清原地区市民センター前のトランジットセンターを起点とする、フィーダーバス路線として、工業団地内を循環する清原工業団地内循環線や、清原台とゆいの杜方面を一体的に循環する清原台・ゆいの杜循環線のほか、芳賀町内や赤羽工業団地を経由し、市塙駅までを結ぶ市塙・赤羽工業団地線を新設したところです。引き続き、利用状況の調査・検証を進めるほか、7月から宇都宮芳賀ライトレール線とバスの連絡定期券の購入支援を開始するなど、より多くの方に利用していただけるよう、利用促進にも取り組んでいきます」
沿線にトイレが足りない
宇都宮芳賀ライトレール線の施設面について、少し気になる点がある。それは、停留場のトイレ問題だ。全線の所要時間が40分ほどだが、停留場のトイレというと宇都宮駅東口と清原地区市民センター前の2カ所しかなかったが、7月29日に平石と飛山城跡にも、多目的トイレの設置を完了した。今後はほかの停留場でも、トイレの新設を進めてほしいと思う。これは女性のみならず万人の利用者に対して、より優しい取り組みとなるはずだ。
宇都宮駅西側の整備も進めていくうえで、バス路線の再編や新たなトランジットセンターの新設など、これから先も交通の利便性が確保された街として、今後も宇都宮芳賀ライトレール線を通じて、宇都宮市・芳賀町のさらなる発展を、心から応援したい。
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