「保守派の星」高市早苗氏の苦しい総裁選戦略 "安倍政治継承"をアピールも、限られる議員支持

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ここにきての株価の乱高下で大混乱となった日本経済への現状については「アベノミクスがもたらした金融政策の歪みが原因」(経済アナリスト)との見方が広がる。このため、「総裁選では安倍氏と黒田東彦前日銀総裁が推し進めたアベノミクスの光と影の検証も争点となる」(自民長老)とみられており、「高市氏の経済・金融政策も厳しく問われる」(同)ことは避けられそうもない。

「出馬惨敗」や「断念」なら“次の次”もなくなる?

63歳の高市氏は、「年齢的には働き盛りで、次の次の総裁選出馬も可能」(周辺)とみられている。しかし、「今回出馬して前回より票が激減したり、不出馬に追い込まれた場合、“次の次”もなくなりかねない」(政治ジャーナリスト)との不安も抱える。

そうした中、総裁選の日程を決める総裁選選管委員会のメンバー構成にも党内の注目が集まる。同管理委はこれまで、派閥のバランスに配慮して均等に人選されてきた。しかし、今回は派閥裏金事件を受け、無派閥から最多の5人を選出し、最大派閥だった安倍派から3人、麻生、茂木、二階派から各1人を選び、岸田派の起用は見送られた。

そもそも、管理委メンバーは、中立性の観点から総裁選候補者の推薦人になれないが、11人の中には、前回2021年総裁選で高市氏の推薦人だった黄川田仁志氏と、片山さつき氏が選ばれたため、党内保守派や一部メディアから「高市氏の『出馬封じ』の人選」との指摘も出ている。「ただでさえ限られる高市氏支持議員が2人も減ったら、推薦人確保はさらに困難になる」(高市氏周辺)からだ。

そうした状況を見透かしたかのように、ここにきて「岸田首相は党や内閣の人事も含め、総裁選までは何もしないで現体制のまま再選出馬を宣言する」(側近)との見方が広がる。その場合、ポスト岸田の有力候補の石破氏や高市氏は「推薦人確保という壁にぶち当たる」(自民長老)ことは間違いない。

しかも、岸田首相が土壇場で再選出馬を断念すれば、茂木幹事長をはじめ立候補者が相次ぐのは確実だ。その場合「議員票と地方票の両方に不安を抱える高市氏は、決選投票に残ることも困難」(同)とみられており、永田町では「高市首相への道筋はまったく見えてこないのが現状」(政治ジャーナリスト)との見方が支配的だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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