「保守派の星」高市早苗氏の苦しい総裁選戦略 "安倍政治継承"をアピールも、限られる議員支持

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そもそも高市氏は、2021年秋の総裁選に出馬した段階では「泡沫候補扱い」(政治ジャーナリスト)だった。しかし、安倍氏が「最高実力者」の立場から当時の最大派閥・細田派に高市氏支持を働きかけると党内保守派の支持が急拡大。結果的に国会議員票を全体2位(114票)にまで積み上げた。これを受け高市氏は「結果報告会」で「身に余る結果を残すことができた」と胸を張る一方で「選挙は勝ち負けだから、結果は結果として重く受け止める」と語った。

最大の敗因は、「党員・党友票での大苦戦」(高市氏周辺)。高市氏が都道府県別で1位を獲得したのは地元の奈良県のみで、安倍氏の地元・山口県でも岸田氏に負けるなど、地方組織での支持の低さが際立った。高市氏自身は「党員票が足りなかったのはすべて私の不徳の致すところ」と自戒したが、「一般国民に近い感覚を持つ党員・党友の多くは、保守派の星を自認する高市氏を受け入れなかった」(自民幹部)のが実情だ。

弱点克服目指し「地方巡業」に精出すが

そうした中、安倍氏は結果報告会で「私たちは高市氏を通じて、本来自民党はどうあるべきか、しっかりと訴えることができた。他の候補にも影響を与えた」と高市氏の戦いを評価し、高市氏も「私は歩みを止めない。政策を磨き上げ、また次に向かって一緒に歩んでくださることをお願いする」と再挑戦への決意を示した。

そこで問題となるのは、「現在の高市氏の総裁候補としての力量」(自民長老)だ。「前回総裁選での敗因となった地方票での弱さをどう克服するか」(同)が最大のポイントで、高市氏は7月後半から8月下旬まで、講演を中心に全国を飛び回って地方議員や党員・党友への支持呼びかけの活動を展開する構えで、陣営幹部は「これまでの地方講演は大入り満員で手ごたえは十分」と胸を張る。確かに、岸田政権への国民的反発が収まらない中、「岸田首相のアンチテーゼとしては、石破氏と高市氏が双璧」(同)であることは間違いない。

その一方で、肝心の自民議員の支持は「保守派以外への広がりに欠けるのが実態」(無派閥若手)とみられている。しかも、ここにきて党内若手などの間での支持が拡大している小林鷹之・前経済安保相は高市氏の前任で、「保守派として高市氏と支持者がかぶる」(自民幹部)ことは否定できない。それもあってか、高市氏は「保守的な主張をこれまで以上に先鋭化させて、小林氏との差別化を狙っている」(政治ジャーナリスト)とされるが、「そのこと自体が支持議員を減らす悪循環に陥っている」(同)との指摘もある。

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