アフガン諜報戦争〈上・下〉 CIAの見えざる闘い ソ連侵攻から9.11前夜まで スティーブ・コール著/木村一浩、伊藤力司、坂井定雄訳 ~「世界最悪の地」を生んだ米国の無策と傲慢さ

そうした荒廃の中から過激なイスラム教徒がタリバン(学生という意味)を名乗り、アフガンを支配していく。96年にウサマ・ビンラディンがアフガンに逃れてきて、アメリカに対する「ジハード(聖戦)」を宣言する。だが、こうした展開に対してアメリカ政府はアフガン政策を持たず、CIAは分析すらできなかった。その無策と傲慢さの代価が連続テロ事件であった。

ビンラディンは5月に米軍に殺害されたが、これで9・11が終わったわけではない。オバマ大統領はアフガン撤兵を進めるが、依然として「幽霊」との戦いに勝利する見通しはない。

アメリカ外交やCIAの諜報能力を過大評価しているのではないかという感想がどうしても読後に残る。CIAに興味ある読者には、Melvin A. Goodman著“Failure of Intelligence:The Decline and Fall of the CIA”を併せて読むことをお勧めする。

Steve Coll
米ニューアメリカ財団会長。1958年生まれ。米オクシデンタル・カレッジを卒業後、『ニューヨーカー』誌のスタッフライターを経て、ワシントン・ポストへ。南アジア支局長(89~92年)、同紙編集局長(98~2004年)を歴任。

白水社 上・下各3360円 上496ページ、下441ページ

アフガン諜報戦争〈上〉
  

アフガン諜報戦争〈下〉
  

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