五輪で「米国に勝利した」バスケ日本女子の"金言" 東京五輪で銀、パリで金目指す女子バスケに必要なもの

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モントリオール五輪のときのバスケ女子のユニフォーム、片桐さんが着用したもの(写真:筆者撮影)

銅メダルを首にかけられるブルガリアの選手を閉会式で見つめた日本選手たちは、どんなに悔しかったことだろう。当時のメンバーのひとりである片桐(旧姓・林田)和代さん(日立戸塚=当時)は「ブルガリアに私たちのプレーを全部読まれていた。今野さんたち中心選手がマークされて負けてしまった」と悔しそうに振り返る。

片桐さん(写真:筆者提供)

実は大会前、女子日本代表は当時IOCに所属していなかった中国での招待試合に参加した。強化試合の一環だ。そこにブルガリアも来ていた。片桐さんたちは快勝したが、そこで分析しつくされてしまったようだ。

「五輪の前にここで練習ゲーム試合さえしていなければ、日本チームのことなんてわからなかったはずです。ただ、そのときはブルガリアが練習試合に参加することをスタッフも知らなかったのかもしれません」

本番前に手の内をどれだけ見せたか

このことは「本番前に手の内を見せてはいけない」という教訓にも映る。折りしも今回、日本は欧州入りしてからの強化試合でフランス(同7位)、ベルギー(同6位)を相手に連敗。「これでは五輪は戦えない」などとネット上で叩かれた。

ただ、予選ラウンドの最後に対戦(8月4日)するベルギーとの試合では、シュートガードとしても新境地を見せる赤穂ひまわりを出場させていない。実は故障を抱えているのか、不調なのか、それとも温存なのか。すでに情報戦が始まっているのかもしれない。

(写真:筆者撮影)

今とは違っていたこともいろいろある。夏季五輪だからと体育館を締め切って練習、わざわざ体温超えの環境を作った。そこまで暑熱対策して乗り込んだら、モントリオールの会場は「エアコンで冷え冷えだった」と前出の今野さんは笑って振り返る。試合中は水が飲めるのに、練習中の水分補給は禁止だった。

尾崎監督の命令は絶対で、誰も逆らうことはなかった。練習中のミニゲームで、ユニチカ山崎の選手を相手に戦ったら僅差になったことがあった。尾崎監督はカンカンに怒って紅白戦の5対5が何十分も続いた。監督が笛を鳴らさないので試合が止まらない。メンバーチェンジもなし。選手は足がつり、ひざまずいてはまた立ち上がり走った。監督に檄を飛ばされた選手たちは、泣きながらプレーしたという。

モントリオール五輪のときにメンバーがお互いのTシャツに書いたメッセージ。片桐さん私物(写真:筆者提供)

片桐さんは「今の時代ではありえない指導ですが、そのとき監督さんに言われた言葉は私たち選手の胸に突き刺さりました」と回顧する。尾崎監督はこう諭した。「おまえたちは何のために12名に選ばれているんだ? 日本で12名しか選ばれないんだぞ」。

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