五輪で「米国に勝利した」バスケ日本女子の"金言" 東京五輪で銀、パリで金目指す女子バスケに必要なもの

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今野さんたちは、変幻自在の守備陣形で相手を追い込む「忍者ディフェンス」と、ボールを奪い返したら瞬時にゴールに向かう「マッハ攻撃」を看板に、日本旋風を巻き起こした。このように戦術的なものも、今の日本代表と同じ路線だ。3点シュートがないだけで、試合の流れを変える激しいディフェンスやスピーディーな切り替えで相手を翻弄した。

銀メダルに輝いた世界選手権表彰式。右端から大塚宮子選手、山本幸代選手、林田和代選手(姓は出場当時(写真:片桐さん提供)

モントリオール五輪は出場6カ国が総当たりするリーグ戦。今野さんは5試合で102得点した。鋭く切り込むドリブルとシュート力が持ち味。世界選手権で2位ながら最優秀選手賞に選ばれた攻撃力は日本の切り札だった。競った場面で最後のシュートをエースに託す「今野フォーメーション」まで存在した。

「最終的には自分がどうにかするんだって思わないと、やれません。チーム全員が最後は自分だっていう気持ちを持ってほしい」と今野さんはエールを贈る。

当時、ミーティングの中身は「アメリカ」に集中

現在の日本代表を率いる恩塚亨ヘッドコーチが先日、「48年前の女子日本代表がアメリカ戦を前にどんな準備をしたのか知りたい」と語っていた。そのことを伝えると、今野さんは「相手をよく知ることと」と短く答えた。当時監督だった尾崎正敏さんが五輪本番前に行われたプレオリンピックに出場したアメリカチームを視察するために自費で単身、渡航したことも教えてくれた。

恩塚亨ヘッドコーチ(写真:筆者撮影)

「帰国すると、ミーティングはアメリカについてばかりでした。他の5カ国とも戦うのに、徹底的にアメリカ戦に向けた準備をしていました。監督さんから『アメリカに勝ったら70%メダルに手が届く』と言われ、私たちもアメリカ戦に集中しました」

当時のアメリカは女子バスケットに対し本格的な強化を始めたばかりだったが、ソ連に次ぐ優勝候補ではあった。そのアメリカに対し、日本は初戦で84対71で勝利すると、次は開催国カナダに121対89と大勝した。

ところが、最初の2試合の疲労もあってか3戦目でチェコスロバキアに62対76で敗れると、前年の世界選手権に出場していなかった伏兵ブルガリアに63対66の3点差で惜敗。ソ連にも大敗し2勝3敗で5位に終わった。

日本に負けたアメリカは3勝2敗ながら2位。日本はブルガリアにさえ勝っていれば、得失点で上回っていたアメリカをかわして銀メダルのはずだった。

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