パリの市民参加型予算、民主主義の欠点を補うか 「参加すること」自体からも効用を得られる

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復興中のノートルダム大聖堂
(写真:雷鳥/PIXTA)

2024年パリ五輪で初めて五輪競技となったブレイキンは、審査方法も斬新だ。2人の選手が即興ダンスを交互に披露すると、審査員らはタブレット上のスライダーを滑らせる。独創性や音楽性など5項目の「投票」が集計されて、勝敗が決する。

五輪だけではない。パリ市では14年以降面白い投票が行われている。市民参加型予算だ。公園の噴水の修復、セーヌ川に注ぐ運河の浄化、生活不安定者への援助など、多岐にわたる政策プロジェクトに対し、市民が直接投票して予算の使途を決める。意思決定を議員任せにせず、間接民主主義の欠点を補う仕組みだ。

1980年代にブラジルで始まったが、市民がプロジェクトを提案できるのも特徴で、パリ市の予算規模は1億ユーロ(19年)と世界最大だ。パリ市では、例年1500もの案が出され、地区委員会による選別・再編を経て約200の案が投票対象となる。

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