学費も魅力!公立の国際バカロレア認定校、大宮国際中等教育学校の実際 来春には完全中高一貫制となり初の卒業生も

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「保護者とも当初のようなミスマッチはなくなり、受験者には本校の教育に向いている家庭・子どもの割合が増えています。いわばどの子が受かってもおかしくないような状況になってきているので、実質倍率は上がっているといえるかもしれません」

特別選抜は市民に加え県民もOK、公立ならではのチャンスを

2022年からは入学条件を一部緩和。帰国生や外国籍の子どもを対象とした特別選抜制度は初年度から設けていたが、この枠の受験対象者をさいたま市全域から埼玉県全域にした。この反響は予想以上に大きかったと言う。

「『今はまだ海外にいる』という人からも問い合わせがあります。つまり本校に子どもを通わせるかどうかで、その家族が帰国後にどこに住むかが決まるわけですよね。国際色豊かな教育をより深めるためにも、多様な背景を持つ生徒にぜひ入学してもらえたら」

さいたま市自体が英語教育に注力していることもあり、同校では中3にあたる前期3年までに、英検準2級や2級を取る生徒も多いそうだ。3年次にはニュージーランドへの語学研修が、5年次にはさまざまな国の大学での海外フィールドワークが、それぞれ約10日の期間で行われる。生徒にとっては大切な挑戦の機会だが、学校側は公立校としてのジレンマも感じている。

「率直に言って、お金をかければかけるだけ、学ぶ期間も内容も充実させられるのは事実です。短期留学は実費負担があり、希望制の長期留学ももちろん各家庭の負担になります。ただ公立の学校として、もう少しチャンスを広げることはできないか。例えばヨーロッパや距離の近いアジアなど渡航先の選択肢を増やして、予算の幅を出せないかなどということも考えています。通常の中学校に当たる前期3年間の学費は無料ですし、後期も私立高校に比べれば圧倒的に安い。公立校の費用負担でこの教育が受けられることは、最大の利点だといえるでしょう。本校だからこそチャンスが生まれるという子どもも、必ずいるはずです」

ニュージーランドでの研修やホームステイの様子。生徒がSNSで積極的に発信している

コミュニケーション力と思考力で、総合型選抜に強い学校へ

英語力の高い生徒が多いものの、難波氏は「それだけではこの先の社会を生き抜けない」と言う。単なる語学力ではなく、その言語で深いコミュニケーションができる人材を育てたいと考えているのだ。

「今は大学でも『自分の考えを自分の言葉で述べる力』が求められています。本校はこの点にも力を入れていて、もはや校風としてコミュニケーションを重視していると言えます。『一人で黙々とやりたい』という子どもだとやりづらいこともあると思うので、そこはミスマッチのないよう、保護者の方にもわが子との相性を考えてもらうといいでしょう」

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