学費も魅力!公立の国際バカロレア認定校、大宮国際中等教育学校の実際 来春には完全中高一貫制となり初の卒業生も
イベントなどでは、1年生から6年生までがクラスで縦割りされることが多く、体育祭のチームや探究学習のグループも全学年混在で編成される。ワークショップやボランティア活動も同様だ。こうした学校生活の中で、下級生は上級生からさまざまなことを直接学ぶ。プレゼンテーションの好手、学習への姿勢、自分たちの活動の発信の仕方など。今後は進路についても、先輩が道を作っていくだろう。
現在、同校では初めての卒業生となる学年への進路指導を行っているところだ。難波氏は言う。
「本校の入試難度は決して低くありません。同等の学校と進路実績を比較したとき、大学名や単純な偏差値で並べたら、おそらく敵わないのではないかと予想しています。それはうちの生徒に力がないからではなく、IB教育や探究学習が目指す『思考力』と、大学入試で測る学力とに乖離があるからです。入試改革もさけばれていますが、今もペーパー試験を突破するのにいちばん重要なのは、過去問と練習問題をコツコツ解き続ける物量戦です。しかし本校が重視しているのは、『本当の学力とは何か』ということです」
一人ひとりの進路希望とその理由を確認していると、そこにはある傾向が見られるそうだ。
「俗にいうGMARCHのような偏差値帯で考えるのではなく、自分が何をやりたいかに正対して志望校を考えている生徒が多いようです。この軸がきちんと決まっていれば、本校の生徒は、優れた研究者を求める上位校の総合型選抜でもしっかり戦えるとみています」
文部科学省の調査では、2023年度入試の総合型選抜による大学入学者は、国公私立大合わせて14.8%となっている(「令和5年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」)。この割合は年々上昇しているが、難波氏は「ゆくゆくは、卒業者の半数以上を総合型選抜で合格させられるといいですね。それだけの実績が出せれば、本校の大きな特長としてアピールすることもできるでしょう」と展望を語った。
「本校を希望する子どもと保護者には、まず実際に学校の雰囲気を見てほしいと思います。残念ながら、ここは自動的に汎用性の高い人物になれるような場所ではありません。受け身ではなく能動的な子どもに来てほしいし、私たちもつねに、そうした子どもたちを迎えるための準備をしています」
(文:鈴木絢子、写真:大宮国際中等教育学校提供)
東洋経済education × ICT編集部
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