「セクシー田中さん」報告書に欠けた"問題の本質" ビジネス視点で俯瞰するとわかる対立構造

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日テレの調査報告書(写真:編集部)

制作チームのコアメンバーは原作の世界観を大切にするために、原作者に対して登場人物のキャラクター表を要望していました。が、それは存在していないため手に入りませんでした。

これは漫画家の仕事のプロセスを考えると当然で、自分の頭の中に入っているのです。そして連載の間、ネームを描き、スタッフで手分けをして作画し、ペン入れをして仕上げという忙しいスケジュールを考えると、ドラマのためにあらたな設定書を作るという時間がとれないことも理解できます。

ドラマ化する際に改変が必要になる事情

とはいえその前提で原作だけを深く読み込み、プロットを作成するたびに、原作者から「キャラ崩壊が起きている」と指摘される状況は、本打ちに参加するドラマ制作のコアメンバーにとってもきつい状況だったと推察されます。

というのも漫画のドラマ化にあたっては改変がどうしても必要になります。報告書ではその理由が挙げられています。まず最初に漫画と違い、1話1話の中で視聴者を飽きさせないために盛り上げる場面が何か所も必要だという理由があります。ロケ場所の制約や予算の制約。尺が足りないことで何らかのオリジナルエピソードが必要になるという理由もあります。俳優の演技やブランドイメージ、スケジュールの制約、そしてスポンサーへの配慮などドラマ化にあたっての改変は必然的に発生します。

ビジネス的には数字(視聴率)がとれるとか、SNSでバズるために演出が求められる場合がありますし、原作内容がハードだったり、視聴者が離れそうなところでは、共感が得られるような改変が必要な場合もあります。当然ですが本打ちではそういった1つひとつのことが細かく議論され、理由があってプロットが生まれています。

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