起業家・成田修造が語る、「プログラミング的思考×お金×越境力」の重要性 何かを生み出せる人を増やす起業家教育が必要
「先生」から「コーチ」へ変わることでしょうか。子どもが答えを持っているという前提に立ち、学ぶものを決めるところを伴走してあげたり、どこに向かいたいかをサポーティブに会話してあげたり、その子に合わせて「コーチ」をしてあげることが、理想的だと考えています。
脳の発達の観点から言うと、10歳くらいから冷静かつ客観的に物事を捉えられるようになるので、小学4年生くらいから「自発的に学びたい」と思えるような環境をいかにセットしてあげるかが重要になると思います。また、知能レベルが大人に近づく14歳頃も、注意深くサポートしていくことが必要になるでしょう。
学年でいうと、小学4~5年生、中学2~3年生ですね。この時期にうまく対応しないと、自発性が失われたり、自身の意思決定ができず自立できなくなったりしてしまう事態を招いてしまうのかなと。
親も子どもが10歳から14歳くらいまでは、その子の特性を見極めながら、さまざまな選択肢を見せてあげることや、その子なりにできることの幅をいかに広げてあげるかということを意識すべきではないでしょうか。いろいろな場所に連れて行ってあげたり、スポーツや課外活動に打ち込める機会をつくってあげたりできるといいですよね。
14歳以降は、むしろ親はあまり干渉せず、その子自身が目標を持って動いていけるように促せるといいと思います。ちょっと難しい本を与えてみるのもお勧めです。
「プログラミング的思考×お金×越境力」が大切
――18歳のときに、これからは「IT×ファイナンス×起業家精神」が重要になると、兄である成田悠輔さんからアドバイスがあったそうですね。今の時代、この3つは何歳頃から意識するとよいと思いますか。
10歳で理解できる子は早熟だと思いますが、親は少しずつこうした条件を意識して働きかけることができるといいですね。わかりやすい言葉で置き換えるなら、「プログラミング的思考×お金×起業家精神」でしょうか。
プログラミングはもう必要なスキルではないと思いますが、プログラミング的思考という基礎は大事。曖昧なものを適切に言語化して実装していく論理的思考力を身に付けるにはプログラミングは有効ですし、コンピュータの本質的な理解は重要です。
だから、受験勉強の時間があるなら、プログラミング的思考を身に付けたり、生成AIに触れたりする機会を持つほうがいい。そういうことを教えられる家庭教師や機会を探したほうが、オリジナリティのある子どもになっていく気がします。
お金については、12歳くらいから親と一緒に株式やREIT(不動産投資信託)など、少額投資を始めてみると面白いと思うんですよね。
起業家精神については、周囲に起業家がいるかどうかがポイント。例えば、彼らが集まるようなコミュニティーを子ども自身に探させるのも1つの手かもしれません。今はどこにいても、オンラインで人にアクセスすることが可能ですから。
――会社をつくるかどうかは別にして、やはり「起業家精神」は大事でしょうか。
それを意識して行動できるかどうかで、人生は大きく変わると思います。日本の初等教育はすばらしいのですが、高等教育以降では、秀でたものをつくるとか、今ない価値を考えるといったマインドが潰されてしまいがちです。起業家精神を抑えつけるような教育カリキュラムや学校の風土がありますよね。