中村哲さんはなぜ銃撃されたのか、真実に迫る 『中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」』書評

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『中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」』乗京真知 著
中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」(乗京真知 著/朝日新聞出版/1760円/248ページ)
[著者プロフィル]乗京真知(のりきょう・まさとも)/朝日新聞福井総局長兼国際報道部員。1981年生まれ。少年期をブラジルで過ごし、神戸大学卒業後、朝日新聞社に入社。仙台や名古屋で主に事件や災害を担当し、イスラマバード支局長、国際報道部次長などを経て、2023年5月から現職。

2019年、アフガニスタンで人道支援に力を尽くしてきた医師の中村哲氏が現地で凶弾に倒れた。

彼が率いるNPO(民間の非営利組織)は長年、干ばつに苦しむこの地に無数の井戸を掘り、川の水を引く灌漑(かんがい)事業を進め、砂漠を豊かな穀倉地へと変えた。「カカ・ムラド(中村のおじさん)」の愛称で親しまれたアフガニスタンの国民的ヒーローは、なぜ命を奪われなければならなかったのか。本書は実行犯グループの正体と殺害動機を追う渾身のルポルタージュだ。

危険地帯で取材し真実に迫る

冒頭、事件当日のシーンが生々しく再現される。

運転手はいつものように定宿から中村氏を乗せ、護衛を伴って作業場へと向かっていた。そこに突如、白い不審なカローラが割り込み、行く手を阻む。一斉に飛んでくる銃弾。反撃する間もなく、ほぼ全員が撃たれた。犯人が倒れている護衛たちから銃を回収して逃走するまで、わずか1分程度。偶発的なものではない、周到に準備された犯行だった。

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