大学生のマルチ被害額で最大50万円が多い訳、「SNS」「モノなし」で拡大する罠 「お金がないので」という断り文句は通用しない

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実際に被害にあった大学生たちが、最初から警戒心を持っていなかったのかというと、決してそうではないだろう。しかし、最初は普通のサークルを装い次第にマルチの顔を出す「後出しマルチ」の手口や、ちょっとした年齢差で上下関係ができてしまう独特な世界、そうした環境でつい断れずに話を聞いてしまい、やがて洗脳されていくのだそうだ。

断り文句に「お金がないので」は通用しない

最近では2022年に成年年齢が18歳に引き下がった。その結果、例えばカルト宗教の勧誘は、高校生にも及んでいるというが、マルチ勧誘ではどのような影響があるのか。

「成年年齢が引き下がったことで、18歳でも消費者金融から融資を受けることは可能になりました。しかし実際は、ほとんどの業者が高校生への融資は行っておらず、危惧していたほど被害は増えませんでした。しかし一方で、18歳でも年収の証明書がいらない月間利用限度額30万円のクレジットカードが作れるようになったため、主に脱毛美容などの美容医療関連の被害が出てきています」

マルチ商法は、連鎖販売取引として特定商取引法で様々な規制がなされているが、残念ながら違法ではない。大学側も入学ガイダンスで注意喚起をしたり、学生課が窓口となって相談を受けるなど、学内でマルチが蔓延しないよう対策は講じている。ただし、どこまで学生に浸透しているかはわからず、学生課での対応にも限界がある。

マルチ勧誘には学生自身が気をつけることが何よりの対策となるが、勧誘を受けた場合はどう対処すればよいのだろうか。坂東氏はこうアドバイスする。

「まず、『お金がないので』という断り方は通用しません。基本的には、関わる気がないことを『マルチ』という言葉を使って伝えることが重要です。『私は、これがマルチだと思う。マルチに関わる気はない』と相手に示してきちんと断るのです。もし融資を受ける話にまで進んでしまったら、虚偽の申告をすることを拒否する。事実と異なることを書くのが良いことなのか、悪いことなのか。自分で判断できる若者であってほしいです」

一度騙されると、その情報はいわゆる『カモリスト』としてほかの業者にわたることもあるという。坂東氏は最後に、「万が一騙されてしまったとしても、やり直しはできます。次は騙されない大人になってほしいです」と語った。

(文:國貞 文隆、写真:polkadot / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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