たかが「中学受験の塾についていけない」だけで「不出来な子」は早計な理由 親が学ぶ「親塾」で勉強法と子の心身を理解

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近年は、発達障害や学習障害、いじめ、不登校、スマホ依存などに関する予備知識の少なさから、強い不安を抱えている親も少なくないという。

「日本では『他の子と同じことができなければいけない』というプレッシャーが強いですが、発達障害や学習障害の子どもにはそれぞれの特性に合った育て方があり、親に知識があれば長所を伸ばしていけます。また、例えばいじめられたときの対処法を知っていれば深刻な事態を防げますし、万が一不登校になった場合も、『保健室登校もある』『スクールカウンセラーに相談できる』と親が知っていれば、不安を軽減できるはずです」

親が知っておくべき知識をオンラインで学ぶ場として、和田氏は「親塾」を立ち上げ、小学生・中学生・高校生の3つのコースを設定。コースごとに押さえておきたいテーマで動画を100本(高校生コースは97本)用意している。扱うのは、先取り学習や受験勉強のテクニックなど学習法に関することから、発達障害・学習障害、いじめ、不登校、年齢に合わせた褒め方・叱り方、思春期への対応まで幅広い。

塾とのつき合い方
和田氏の講義の一例「塾とのつき合い方」(画像は東洋経済撮影)

「少子化や核家族化が進んだ今、多くの親は悩みを一人で抱え込みがちで、不安が強くなる傾向にあると感じます。親が不安だと、子どもは親を頼りなく感じ、本音を相談しにくくなるケースもあります。『親塾』は、子どもの学習や心身の発達に関して必要な知識を身につけることで、親御さんに自信を持ってほしいとの思いで立ち上げたのです」

親子関係で重要な「無条件の愛」「自己肯定感」「本音」とは

親子関係で重要なこととして、和田氏は3点、「子どもが無条件に親に愛されていると思える」「親が子どもの自己肯定感を高めている」「親子の間で本音が言える」を挙げる。

「子どもが悩みを打ち明けられる関係性を築くには、『勉強できる自分なら愛してもらえる』という条件付きの愛ではなく、『自分がどんなことをしても親は愛してくれる』という無条件の愛を感じることが重要です。また、褒めればなんでも良いわけではなく、子どもができることを見つけて根拠を持って褒めることが自己肯定感の向上につながります」

本音が言える親子関係を築くことは、子どもの友人関係にも影響を及ぼすという。

「子どもは秘密や本音を打ち明けることで親友をつくりますが、昨今は本当の自分を出せない子が多い印象です。家の中で子どもが『あの子は嫌い』と本音を言ったとき、親が建前を重視して『そんなこと言ってはいけません』と否定すると、子どもは自分の本音は異常なのだと感じ、周囲の人に本音を言えず親しい関係性を築きにくくなってしまいます」

この場合、「そうかもね。でも言っていいのは家の中だけよ。学校であなたが嫌われるのは私もつらい。その代わり、家では絶対にあなたの味方だからね」と、本音を受け入れられる体験をさせることが必要だ。

また、子どもの生活や進路がうまくいっていないときは、親は子どもを信じて集められるだけの情報を集め、どんどん試す姿勢が重要だと和田氏は言う。

「わが子に合う方法を知るためにも、学校や塾の話だけを鵜呑みにするのではなく、書籍やネット、動画などからまずは集められるだけの情報を集めるとよいでしょう。どれかを選んだ後も、それがわが子に合わないようならまた別の方法を試す柔軟さが大切です。塾も勉強法も、何も1つではありません。試す前から『この子はダメ』と決めつけるのは、もはやネグレクトです。前述の私の弟は、母から『兄貴ができるんだからあんたもできる。うちの血は賢い。今勉強ができないのは学校のせいだ』と聞かされていました。だからこそ、『勉強法さえ変えれば、東大に行ける』と信じて動けたわけです」

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