イルカの命は、ほかの動物よりも尊いのか 太地町出身の弁護士が問う、欧米の傲慢

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18世紀には全米で50億羽もいたといわれるリョコウバトは、その美味な肉のこともあり、1914年に絶滅しました。塩漬けにして大量に輸送されていたと伝えられていることから、商売として成り立っていたのでしょう。

仮に、鯨油が欧米諸国の産業発展に現在でも必要不可欠な状況にあったとしたら、おそらく彼らは、鯨油目的の捕鯨をやめていない可能性が高いと、私は考えています。

誤解を恐れずに極論をいわせてもらえば、彼らは自分たちの生活・商売に必要な生物の命は、それを利用することに何ら疑問を感じない。しかし一方、自分たちの生活に必要ない生物の命は、その生物がほかの国の人間の生活に必要であったとしても、奪うことを許さないと主張する。

そこには、他国の文化を尊重する姿勢はいっさいありません。むしろ、みずからの価値観が正しく、その価値観に沿わない行動は野蛮だと決めつける、傲慢さが多分に含まれているように感じます。

そして、イルカ・クジラの保護は、彼らにとって愛すべき存在を愛すべき存在として見続けていたいという、彼らの都合に合致するものなのです。

恥ずかしがった女性たちが隠したのは…

こんなたとえ話を聞いたことがあります。

「ある女性の問題に関する世界大会が日本で開催されました。大会が終わり、開催地は温泉地でもあったため、各国の女性たちは大浴場で温泉につかり、疲れを癒していました。そこに、掃除の時間を間違えた旅館の男性職員が数名、うっかり木戸を開けて入ってしまった。

女性たちは、悲鳴を上げて手に持った小さなタオルで身体を隠しました。ある女性は胸を隠し、ある女性は下を隠しました。だが、恥ずかしくて見られたくない!といちばん大きな声を上げた女性が小さなタオルで隠したのは顔でした」

というものです。

顔を隠した女性を笑ったり、隠す場所を変えるよう強要することは、正しいのでしょうか。各国にはそれぞれ、地域、人種、宗教などから創り上げられた文化があります。その文化は、人類の存続に危険を及ぼさないかぎりは、価値的には平等であるべきではないのでしょうか。

坂野 真一(さかの・しんいち)弁護士
ウィン綜合法律事務所 代表弁護士。関西学院大学、同大学院法学研究科非常勤講師。著書(共著)「判例法理・経営判断原則(中央経済社)」。近時は火災保険金未払事件にも注力。
事務所名:ウィン綜合法律事務所
 
 
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