新幹線開業から3カ月、北陸2空港の"今" 小松、富山の両空港はどうなっている?

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富山は自動車利用が多い県として知られる。ところが、JR富山駅の周辺には駐車場が少ない。そのため、「市街地から近く、駐車場が無料で使える空港のニーズは一定程度ある」と、富山県で航空政策を担当する中橋宗一郎・総合交通政策室次長は言う。富山の住民が東京に行く場合、空港に車を停めて飛行機を使うほうが新幹線よりも便利というわけだ。

羽田便を維持したい事情

富山空港は利用者のつなぎとめにあの手この手を検討している

問題は、首都圏からの利用客をどうつなぎとめるか。

現在富山県が取り組んでいるのが、県民以外の人が羽田便を利用した際に県内のホテルまたはレンタカー代を50%オフ(上限5000円)にするというキャンペーンだ。期限は6月30日までだが、反響が大きく、延長するかどうか目下検討中だ。

観光客とビジネス客に分けた場合、特に首都圏からのビジネス客数の落ち込みが顕著だという。「富山に来たビジネス客はレンタカーで県内を移動する傾向がある」(中橋氏)。そこで県では、羽田便利用者にレンタカー代金を補助することも検討している。つまり、航空機利用者にとっては、その分だけ新幹線よりもお得になる。

また、団体観光客の利用拡大についても、羽田便を利用して県内で宿泊する団体旅行に対して、貸切バス代を補助するなどの施策を行っている。富山県内の企業については、羽田便を10回利用すれば旅行券をプレゼントするなどの取り組みもある。

富山県には、羽田便を維持しなくてはいけない事情がある。富山空港は国際線に力を入れており、現在はアシアナ航空、中華航空など4社が乗り入れている。こうした旅客機のハンドリングを管理しているのがANAである。つまり、同社が撤退すると外国航空会社のケアが行き届かなくなり、国際便の撤退という事態にも発展しかねないのだ。

ANAは「富山から撤退するつもりはない」と断言するが、同社をつなぎ留めておくことは富山空港にとって死活問題。羽田―新潟便、羽田―仙台便など、新幹線開業によって路線廃止に追いこまれた羽田便はいくつもある。どうすれば空路を維持できるか。地元関係者が知恵を絞る日々が続く。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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