JR旅客6社&貨物の「新規事業担当者会議」に潜入 鉄道に匹敵する「新たな事業柱」を育成できるか
14時15分に会議が始まった。まず、幹事役を務めるJR貨物の担当者が挨拶に立ち、続いて嶺南振興局の局長が敦賀・若狭エリアの紹介を始めた。福井県は子供の教育水準が高いことや、職場定着率が全国1位といった点を説明し、福井に企業拠点を構えるメリットを訴えた。
このあと各社によるプレゼンが始まったが、「今後の各社の事業に影響が出るおそれがある」としてここで退室を促された。あとで話を聞くと、1社ずつ自社の新規事業の取り組みをプレゼンし、それについての質疑応答。これが7回繰り返されるという流れ。終了予定時刻は17時30分。本来なら各社の発表と質疑応答の後に全体を通したディスカッションが行われる予定だったが、活発な質疑応答が予想以上に時間を食い、全体ディスカッションまでには至らなかったという。
土地が枯渇し、知恵を使う段階に
日本国内における鉄道は成熟産業であり、今後の飛躍的な伸びは期待できない。その意味で各社が鉄道に頼らない経営の多角化に力を入れるのは必然だった。
JRの中でも経営の多角化が進んでいるのがJR九州だ。2022年度の連結売上高の実に3分の2を非運輸事業が占める。非鉄道事業に力を入れる理由は、首都圏や関西圏といった人口が集積する基盤を持たず、九州のみで鉄道業を営むには限界があるためだ。
各社の非鉄道事業で主流を占めるのは不動産、流通、ホテル。JRの土地にビルを建ててテナントに貸し出す。駅に隣接する好立地ということで収益力は高く、各社の収益を下支えしてきた。
しかし、JR発足から30年あまりを経て、各社によって多少の違いはあるにせよ、非鉄道事業のために使える用地は枯渇しつつある。そこで、「知恵を使う」ことで、土地に頼らない新規事業の創出が求められている。JR九州も例外ではない。最近では熊本市内の菓子メーカーや福岡市内を中心にチェーン展開を行う焼肉専門店などを矢継ぎ早に買収している。
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