「ラトビア青年」紙のイーゴリ・ラズモフスキー記者からの報告を受けて、筆者はエリツィン派の市民が暴徒化する可能性があると不安になった。
KGB(ソ連国家保安委員会)本部が襲撃されるかもしれない。国家非常事態委員会によるクーデターが失敗したのは明白だ。内務省も軍もKGBも混乱しているので、治安出動は行えないだろう。襲撃されるKGB本部を見たいという好奇心を、筆者は何とかして抑えた。
ジェルジンスキー広場に集まった群衆がKGB本部を取り囲んでいる様子は、テレビでも実況中継されている。あえて危険を冒して、テレビで得られる情報を現場に赴いて取るには及ばないと筆者は考えた。それに現場で人混みの中にいるよりも、テレビ映像を見たほうが全体像を捉えることができるだろう。
もっとも筆者とは発想を異にする現場主義の外交官もいた。その模様を報告した公電が、2022年12月に公開された。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら