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ソ連高官用の電話帳を見てKGBに電話した効果 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿㊹

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「オクチャーブリ第1ホテル」のレストランで、シュヴェード・リトアニア共産党(ソ連派)第2書記にチョウザメの串焼きをメインとするフルコースをおごってもらった。食後はキャビアをつまみにモルドバ産の「アイスト(コウノトリ)」という40年物のコニャックを1本空けた。40年物のコニャックは初めて飲んだ。

「ヴラッド(シュヴェード氏の名前であるヴラジスラヴの愛称)、驚いた。ソ連にも40年物のコニャックがあるんだ」

「僕も今回、初めて飲んだ。このホテルには、外の場所では買えない珍しい物がある。売店をのぞいてみるか」

「ぜひ見てみたい」

レストランの隣の小さな売店の棚には市内の普通の商店では手に入らない軍人用腕時計や琥珀製品、高級ノート、文学書などが並んでいる。値段も公定価格で安い。

「僕でも買えるのか」と尋ねるとシュヴェード氏は「外国人に売ってはいけないという規則はない」と答えたので、腕時計を5個、琥珀のネックレスを10個買った。政治家の補佐官や秘書への誕生日のプレゼントとして役立つからだ。支払いをしようとしてレジに行くと、「電話帳」と書かれた小冊子が積み上げられていた。

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