「歪み」の終わりが意識される中、景気サイクルの下降が続くのかが焦点だ。
米10年国債金利は、昨年11月と12月の2カ月間で実に105ベーシスポイント(1.05%)もの大幅な低下を見せた。2カ月で100ベーシスポイントを超える長期金利の低下は、1990年代以降で2回しかない。1回目は大手ヘッジファンドの破綻で金融危機寸前となった1998年8〜9月(いわゆるLTCMショック)。2回目は2008年の11月と12月、すなわちリーマンショックのときだ。それに続く3回目となる大幅な長期金利の低下が今回起きたのである。
景気の実態に沿わない長期金利の低下
「インフレ率の鈍化」、「景気指標の軟化」、「FRBによる利下げ開始の示唆」がその要因として挙げられる。より俯瞰すれば、「コロナ禍」がアメリカの経済および金融市場にもたらした大きな「歪み」の反動が極端な形で現れたのがこの2カ月間であったといえる。
パンデミック発生後のアメリカ経済と米金利市場における最大の「歪み」は、通常ならある程度一致して動くはずの景気サイクルと長短金利が大きく逆行する状況が続いたことであった。アメリカでは、2021年後半にはすでにコロナ後の景気拡張サイクルがピークアウトしており、2022〜2023年は本来なら金利は長短ともに低下しているはずの時期であった。
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