親会社の恒大集団にとって、恒大金服の役割は個人の貸し手から集めた金を自社の資金ニーズに利用することにあった。
「2018年以前の恒大金服は、恒大集団の開発用地の購入費や建設資材の購入費、建設工事費などの支払いを(恒大金服の金融商品につけ替えることで)先延ばしにするのが主な仕事だった」。財新記者の取材に応じた恒大金服の元社員は、そう証言する。
だが2018年に入ると、中国各地のP2P金融サービス会社で(経営破綻や資金の不正流用などの)不祥事が噴出。中国政府の金融監督当局が全面的な業務是正に乗り出した。その結果、恒大金服は提供するサービスのほとんどが販売停止に追い込まれたが、2019年5月末に社名を「恒大財富」に変更し、理財商品(高利回りの資産運用商品)の販売を続けた。
集めた資金を不正流用
「社名変更の前後で最も大きく変わったのは、資金調達の目的だ。恒大財富になってからは、(見た目は無関係の)別会社を経由して当局の監督の目を逃れ、恒大集団の地域別の不動産事業子会社に金を回していた」(前出の元社員)
しかし2021年9月8日、恒大財富は満期を迎えた理財商品の償還資金の確保に窮し、元本払い戻しの延期を発表。数十万人の個人投資家が債務不履行のリスクに巻き込まれた。
広東省深圳市の公安当局は、恒大財富が違法な資金集めに手を染めていたと見て捜査している。ただし、今回の劉氏の身柄拘束が恒大財富の違法行為にかかわるものであるかどうかは、現時点では定かではない。
(財新記者:戚展寧、陳博)
※原文の配信は1月8日
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