「ずっと面白い」ジュディ・オングが魅せる輝き 「魅せられて」で知られる歌手のインタビュー

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――実家では台湾語(福建語をルーツとし、台湾現地で使われる言語)で会話をされますか。

台湾語を話せばおやつが出ました。3歳から日本で暮らし、友達はみんな日本語で話します。また母は日本統治時代に生まれ育った人なので日本語を話せます。

それである日、子どもと母親が日本語で喋っているのを見た父が「これではいかん」と思ったのでしょう。故郷の台南に帰っても、祖父母と喋れず自分が台湾人というアイデンティティもわからなくなってしまうと。

ある日、いつものように日本語で「ママ、お腹すいた」と言ったら、通じませんでした。驚いて、なぜ今日は通じないのかと兄と困った挙句、「(台湾語)ママ、バットウヤオラ(pak-tó͘ iau le)」と言いました。すると母が嬉しそうに台湾語で「あら、お腹空いたのね、おやつにしましょうね」と返してくれました。それから台湾語は自分の身近な人たちと喋る言葉と意識するようになりました。

台湾には多くの国からの「置き土産」

――ジュディさんは英語やスペイン語も堪能で、さまざまな文化が流入し融合した「台湾」という場所を体現されているようです。

台湾が素晴らしいのはそれぞれの国からもらった「置き土産」をしっかり自分のものにしていることです。日本統治期の建築もきちんと修復します。私の祖母も、味噌汁を飲み、たくあんも食べました。多くの「置き土産」が文化のなかに生きています。

――台湾に行きたいと考えている日本の皆さんに、ジュディさんとっておきのおススメを教えてください。

たくさんあるので困りますが、まずは迪化街(ディーホワジエ)には絶対に行ってほしいです。そして美しい湖の日月潭。かつて原住民のシャーマンだけが入れた無人島が真ん中にあります。そこから太陽が昇るのを見ていると、身体が後ろに押されるぐらいの「気」を感じられるパワースポットです。

もちろん台南も絶対に行ってほしいところです。媽祖様に手を合わせてほしいです。台南は日本の京都のようなところです。オランダが築いた安平(ゼーランディア)城も有名です。また台南独特の海鮮料理、「阿霞飯店」という老舗レストランではエビを蒸籠でサッと茹で、手で剥いて独特なソースをつけて食べます。そして蟹のおこわ、赤い蟹の卵をおこわと一緒に食べたら本当に幸せになります。

最初に挙げた迪化街は古い建築を活かして乾物から漢方薬まで売っており、台湾の情緒を豊かに感じられます。私も歩いていて「買っちゃだめ、買っちゃだめ」と思いながら、買ったのが「工夫茶」のお茶器。(マネージャーから)ひとつだけと言われたのに、ふたつ買いました。ピクニックの時に熱く淹れたお茶を入れてランチョンマットひいて一緒に飲みます。いいでしょう。「プラトニックラブ」です(笑)。

栖来 ひかり 文筆家

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すみき ひかり / Sumiki Hikari

台湾在住の文筆家。1976年生まれ、山口県出身。京都市立芸術大学美術学部卒。2006年より台湾在住。台湾に暮らす日日旅の如く新鮮なまなざしを持って、失われていく風景や忘れられた記憶を見つめ、掘り起こし、重層的な台湾の魅力を伝える。著書に『台湾と山口をつなぐ旅』(2017年、西日本出版社)、『時をかける台湾Y字路~記憶のワンダーランドへようこそ』(2019年、図書出版ヘウレーカ)。個人ブログ『台北歳時記』:https://taipeimonogatari.blogspot.com/

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