中国の不動産危機が「消費」や「雇用」に及ぼす影響 全国不動産販売額のピークは2021年の18兆2000億元
世界2位の経済大国、中国の政策当局は3年前、住宅価格の高騰を抑え、金融リスクを排除するため、借金漬けの不動産セクターを徐々に減速させようとした。
だが、実際に起きたのは家計資産の破壊とオフショア債市場の荒廃、地方政府から歳入を奪う不動産のメルトダウンだった。
以下のチャート10枚からは、中国経済全体における不動産危機の広範な影響が見て取れる。
1. 不動産販売の急減
全国不動産販売額のピークは2021年の18兆2000億元(約362兆円)。この時まで不動産は中国最大級の産業だった。あまりの巨大さに大手デベロッパー、万科企業の会長は多角経営を図れるような稼げる代替事業が見つからないと語っていた。
翌年、全国集合住宅・商業用不動産販売額は4兆9000億元(27%)減少し、1998年以来最大の落ち込みとなった。
低金利の資金や有利な政策、それに住宅は値上がりし続けるという人々の確信が失われたためだ。ブルームバーグが年初来の公式データに基づいて計算したところ、今年の販売額は1兆8000億元減少する方向。
2024年には不動産販売はさらに縮小し、デベロッパーは流動性の問題に直面する可能性が高い。
野村ホールディングスの陸挺チーフエコノミスト(中国担当)は「底を打つにはまだ早い。依然として低迷している不動産セクターを中心に、経済が再び落ち込むリスクが大きいとみている」と述べた。