14日に発表される欧州中央銀行(ECB)の最新の経済見通しとそれに伴うラガルド総裁のメッセージに市場は注目するだろう。同総裁は投資家の間で高まる2024年の利下げ観測をどの程度押し戻すか思案中に違いない。
インフレ率が急速に低下し経済は低迷、タカ派的な当局者が姿勢を転換したことで、トレーダーは早ければ来年3月にも利下げがあるとみている。24年末までには中銀預金金利が現在の4%が2.5%まで低下するとの予想も市場に織り込まれている。
市場が正しければ、ECBは来年、主要中銀の中で最初に利下げに踏み切り、最も積極的な緩和サイクルを展開することになる。しかし、新たな予測では経済背景の変化と物価見通しの低下を認める必要があるにもかかわらず、当局者には行動を急ぐ様子はない。
当局が直面している苦境は、米連邦準備制度がタカ派姿勢に転換し、投資家がECBの利上げを予想し始めた21年12月を彷彿(ほうふつ)とさせる。当時の予測ではインフレ加速が見込まれていたが、利上げが開始されたのはその7カ月後となり、多くのオブザーバーはECBが出遅れたと判断した。