独学で難関資格を取れる人の「教材の選び方」 すでに合格した人の体験をマニュアル代わりに
いくつか注意すべき点もあります。
まず、合格者の一次情報のみを参考にすべきだということです。
先ほどのキーワードで検索すると、実際に受かった人の体験記だけでなく、合格していない人が書いた記事もヒットします。それらは通常、自らの体験や分析をまとめたものではなく、インターネット上の情報を集めて作成したものです。そのため、情報の精度は低く、誤っている内容もたくさんあります。
合格していない人の情報を参考にすると、逆に合格から遠ざかってしまうこともありえます。誰が書いているかに気をつけながら、内容を確認しましょう。
見分け方は、記事を書いた人のプロフィールです。
実際に合格した人は、たいていの場合、「〇〇年に○○試験に合格しました」と、事実を踏まえて自己紹介を記載しています。それがなくても、記事の冒頭に合格した旨を記していることが多いです。合格していない人の記事は、それらの記載がなく、文末が「〇〇らしい」「インターネットで検索すると~」など、引用やあいまいな表現を多用しています。合格した人は、「私が合格したときは~」など、自らの体験であることを明示しているケースが多いです。
これらの点を確認し、参考にすべきサイトをピックアップしましょう。
有用な情報を拾い上げ、自分に合うものを吸収する
続いて、情報を鵜呑みにしすぎない、ということです。
人間は一人ひとり、体型も性格も、置かれた環境も違います。
格闘技で技を増やすときに大事なことは、その技が自分に合うかを考えて取り入れることです。私は足が長いほうではないので、身長が高い人の技はマネできません。取り組もうとしても、ムダな努力に終わる可能性が高いです。
独学も同じです。誰かが合格したという体験記は、その人にとって向いていた勉強法や、合っているテキストをまとめた情報に過ぎません。
その方法をコピーして実践しても、全員が合格できるわけではありません。自分にそれが合うかは未知数ですので、100%同じことを行っても、合格できるとは限らないのです。
合格者の体験から有用な情報を拾い上げ、自分に合うものを吸収することが大切です。
また、合格者の属性にも注意しましょう。
たとえば、法律系の資格なら、大学の法学部を卒業していれば、初学者よりもアドバンテージがあります。卒業までにひと通りの科目に触れる機会があり、用語に関してもある程度理解した状態でスタートできるからです。
私が公認会計士試験に合格した際は、簿記1級と司法書士試験に合格していたほか、仕事で5年近く上場企業の経理部での勤務経験がありました。そのため、試験科目の会社法や会計学、民法などについては、かなりの知識を備えており、大幅に勉強時間を短縮できました。
公認会計士試験には、司法書士試験からほぼ1年後に合格しましたが、まったくの初学者であればもっと時間がかかったことは間違いありません。
このように、同じ独学合格者であっても、スタート地点が違う場合があります。そのため、合格体験記をよく読み、自分に近い属性の人を参考にしましょう。