JR西、学生向け鉄道インターンの「熱い5日間」 電気・車両などの「普段見えづらい」鉄道現場を体験
所内にある建屋の一室に集まったのは30人を超えるインターンシップ生。中には3名と少数ながら女性の参加もある。今回は中国地方の大学(広島大学・岡山大学・山口大学等)を中心に四国、北九州など、中国統括本部の管轄エリアに近いエリアから、学科や専攻を問わず「JR西日本の技術系現場業務に興味がある方」という呼びかけで募集を実施。間口を広くしたことで当初の予定していた定員を超える申し込みがあり、学生たちの興味を強く惹いたようだ。参加した学生の中にはすでにJR西日本の技術職を希望している人から、検討段階の人までその意識も多種多様。ただ、やはり鉄道の「現場」を体験できるということもあり、公私ともに鉄道に興味がある学生も多い。
冒頭の説明では、「そもそも電車はなにで動くのか」「なぜ複数の列車が走っていても衝突しないのか」といった、鉄道の基礎から丁寧に説明している様子が印象的だった。職員サイドも学生相手だからと決して「上から目線」ではなく、自身の業務を真摯に紹介し、“知っていただく”といった丁寧な姿勢を存分に感じる。また、この日は車両の現場ということもあり、JR西日本における車両設計の思想には2005年に発生したJR福知山線脱線事故を重い教訓に、「弊社は重大な事故を起こしてしまった会社」という言葉を用いて、安全を何よりも重視している点にもきちんと触れて説明がなされた。
パソコンを積んで走っているようなもの
ひとしきり説明が終わるといよいよ車両の検修現場へ。所内の移動にはヘルメットが必要で、学生たち個々に貸与されたが、その着用方法に戸惑っていたり、慣れないヘルメット姿に思わずはにかんだりする学生もいて、その姿が初々しい。
まず案内されたのは検修中の227系電車。普段のホームから見るのと違い、地面から見る鉄道車両の大きさが新鮮に映る。本物の車輪や台車を間近で観察し、床下に取り付けられた機器の蓋を外した状態で、検修作業に従事する社員から構造の解説を受ける。
「今の電車はパソコンを積んで走っているようなもの。昔の電車の検修には経験と感覚が必要ですが、今の車両は取り扱いこそ簡単になってきたが知識が必要」という社員の話に学生たちは没頭していく。職場の雰囲気や気温、職員の熱意や責務など、「現場」だからこそ感じることができる、そのニュアンスが学生の関心を惹きつけるのかもしれない。
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