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日銀が政策修正の前にやっておくべきだったこと 「2%を強調しすぎ」と須田美矢子・元審議委員

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就任以来の植田和男日銀総裁の舵取りをどう見るか。課題は何か。9月21〜22日の金融政策決定会合を前に須田美矢子・元審議委員に聞いた。

「次の一手」に注目が集まる(日銀本館、筆者撮影)
日銀は7月、植田和男総裁の就任以来、初の政策修正を行った。異次元緩和からの脱却の道のりをどう進むのか。須田美矢子・キヤノングローバル戦略研究所特別顧問に聞いた。
須田氏は2001年から2期10年、日銀審議委員を務め、植田総裁とは審議委員の任期が4年間、重なる。出口へのシナリオをオープンに議論する重要性を指摘した。

――就任以来の植田総裁の舵取りをどう評価しますか。

7月の政策修正でホッとした。というのも、就任前の2月の所信表明で異次元緩和の副作用について言及したので、早い段階で副作用対策を講じると思っていたからだ。

だが、すぐには動かなかった。マーケットに早期の修正観測が生まれていたが、次第に後ろ倒しになり、困ったことだと思っていた。「黒田東彦前総裁とスタンスは変わらない」とマーケットに見なされると、実際に政策修正を行ったときの反動が大きくなってしまう。7月がギリギリだった。

YCC修正は「出口へのわずかな一歩」

7月にYCC(長短金利操作)を修正したことで、市場機能の回復がはかられるし、日銀が長期金利を抑えるために大量に国債を買うことも避けられる。まだ出口ではないが、出口へのほんのわずかな一歩だ。

記者会見では質問に丁寧に答えようという姿勢が伝わってくる。審議委員時代には記者会見など好きではなかったはずだが、対話が重要だと意識して実践しているのだろう。

金融政策が効くかどうかは、マーケットの受け止め方が大きく影響する。私自身、金融政策をめぐる対話についての見方は、審議委員として日銀の中にいた時と退任後で変わった。

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