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「未利用魚」通じた商品作りが漁業再生の起爆剤に TカードのCCCMKが仕掛け役で多業種が連携

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7月5日に行われた「未利用魚活用プラットフォーム」の記者会見(撮影:筆者)
2022年の日本の漁獲高は、前年比7.5%減の385万8600トンにとどまった。比較可能な1956年以降で過去最低を更新した。気候変動による海水温の上昇や資源の枯渇、担い手の高齢化が進み、漁業の危機は年々深刻化している。そうした中、せっかく獲ったのに廃棄されたり、低価格で飼料用として扱われたりしている「未利用魚」を有効活用し、漁業や水産加工業の復活につなげようという多業種連携の取り組みが始まっている。

7月5日、東京・渋谷で、未利用魚を用いた商品開発の取り組みに関するマスコミ向け発表会が開催された。

愛媛県八幡浜市および千葉県船橋市の漁業関係者を中心とした2つのチームが、それぞれアイゴ、コノシロという未利用魚を用いた商品開発の成果を発表。トークセッションや試食会で商品開発までのエピソードが報道関係者に披露された。

商品開発を主催したのは約1.3億人(有効ID数)の「T会員」(Tカードの会員)を擁するCCCMKホールディングス。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」と称する共創の場を用意した。漁業や水産加工業などの生産者や食品スーパーなどの流通企業、消費者であるT会員らがオンラインミーティングや対面での会議に集まり、約1年をかけて未利用魚を用いた商品開発について協議してきた。

CCCMKホールディングスは、貴重なタンパク源である魚を廃棄せず、無駄なく利用する「エシカル消費」を呼びかけることで、新たな市場の形成を目指している。

深刻な漁業の実情、未利用魚への期待とは

7月5日の記者会見で印象的だったのが、漁業の厳しい現状や危機感、「エシカルフード」に対する、関係者の期待の大きさだった。

「八幡浜漁港では、35年前と比べて現在の漁獲高は5分の1に激減している。そうした中でエシカルフード作りへの呼びかけがあり、今しかないと思って参加した。未利用魚のアイゴの商品作りを通じて、持続可能な漁業を推進したい」(八幡浜市の水産加工業「オーシャンドリーム」の松浦康夫代表取締役)

「船橋漁港のコノシロの水揚げ高は日本一だが、(値段が付かないため)産出額は3位にとどまっている」(船橋市の漁業・水産加工業「海光物産」の宗形健一郎氏)

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