原油急反転で狂う「金融緩和シナリオ」

世界的株安・債券安の裏にあるもの

 5月7日、世界的な株安・債券安の背景には原油価格の急反転があるとみられている。物価上昇への警戒感が強まり、世界的な金融緩和シナリオに狂いが生じているためだ。写真は、ガソリンスタンド、2011年6月撮影(2015年 ロイター/Jo Yong-Hak)

[東京 7日 ロイター] - 世界的な株安・債券安の背景には原油価格の急反転があるとみられている。物価上昇への警戒感が強まり、世界的な金融緩和シナリオに狂いが生じているためだ。米国などの経済指標は依然さえなく、緩和環境は継続するとの見方もあるが、ここにきてにわかに濃くなってきた先行き不透明感が海外勢などに緩和マネーの巻き戻しを急がせているという。

1カ月半で約5割のリバウンド

原油価格が急速に切り返している。米原油先物<CLc1>は6日の市場で一時1バレル62.58ドルまで上昇。昨年6月20日の107.73ドルからすれば、まだ6割弱の水準だが、今年3月18日に付けた6年ぶりの安値42.03ドルに対して、1カ月半の間に5割近いリバウンドとなっている。

足元で進む世界的な株安・債券安は、この原油価格の上昇が大きな要因だ。ヘッジファンドなど海外勢は、物価が上昇しないことを前提に、各国中央銀行による緩和環境の継続、もしくは追加緩和などを想定。「株買い・債券買いのポジションを組み上げていた」(大手証券トレーダー)とみられている。

海外勢はこうしたポジションを巻き戻しにかかっているとされ、連休明けの東京市場でも世界的な株安・債券安(金利上昇)が波及。日経平均<.N225>は約1カ月ぶりとなる1万9200円台半ばまで下落した。10年長期金利も一時0.435%と2カ月ぶりの水準に上昇。「海外のマクロ系ファンドなどから売りが持ち込まれている」(外資系証券の株式トレーダー)という。

「原油価格の上昇ピッチは、日銀が想定しているイメージよりも相当速いスピードではないか。また各国中銀がどう受け止めるかはともかく、市場では追加金融緩和などの期待は後退しやすい。株式や債券は歴史的高値を付けていただけに、しばらくは世界的な調整が続きそうだ」とSMBC日興証券シニアマーケットエコノミストの嶋津洋樹氏はみる。

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