ミニストップだけ「客数減」、背景に価格戦略の迷走 今夏は正念場、負のスパイラル脱出なるか

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「業績不振で既存店テコ入れにリソースを割けず、結果、集客に影響が出て、より業績は厳しくなっている」と指摘する関係者も多い。実際、大手3社と比べ、店舗への投資には大きな差がついている。

セブンーイレブンは前2022年度に国内で939億円の設備投資を実施、これを期末の国内店舗数で割ると、1店舗当たり約440万円に相当する。業界3位のローソンも前期実績(南九州など一部エリアを除く)は同約200万円だ。

一方、ミニストップは国内外合わせても前2022年度設備投資額は約22億円で、1店舗当たり110万円程度に過ぎない。チェーン全体の儲けが減る中で、既存店の活性化投資が遅れ、それが競争力低下を招き、さらに儲けが減る、という負のスパイラルに陥っているように見える。

新規出店など投資を2.6倍に

こうした状況に対し、本部も策を打っている。

まず本部とオーナーとの関係強化策については、2021年から新しいフランチャイズ契約に順次移行している。本契約は売り上げが低~標準レベルの店舗では加盟店の利益が従来契約より減ると試算されるなど賛否はあるが、従業員の採用などにも本部が踏み込める内容であり、担当者は「チェーンの経営体制は強化されてきている」とする。

投資についても、今2023年度から2025年度までの3カ年で354億円(直近3カ年の約2.6倍)の投資を行う計画を公表している。今期は既存店の改装投資を積極化して、来年度以降は国内と育成中のベトナムで新規出店を強化する予定だ。

こうした施策は、これまでのところ効果を発揮しているとはいえない。コンビニにとって人出の増える夏場は最大のかき入れ時。そこでどこまで盛り返せるか。ミニストップにとっては正念場の夏となりそうだ。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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