日本郵政、楽天グループ株「巨額評価損」で蘇る悪夢 大型投資で連戦連敗の「呪縛」から逃れられるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

6月27日の定例会見で「楽天株が下落している。減損リスクはないのか」と問われると、日本郵政の増田社長は「増資発表で株価が下落している」と顔を曇らせた。「会計基準に則って適切に処理する」とも明言した。

楽天は5月16日に公募増資や第三者割当増資を発表。5月31日に2960億円の調達を完了した。うち約1900億円はモバイル事業の運転資金に、残りは社債償還に充てる。

楽天株は4月以降も600円台を維持していたが、1株566円の公募価格を発表する前日の同23日に楽天株は600円台を割り込んだ。公募増資で15.9億株から21.3億株へと大幅に増えるのを投資家が嫌気したのか、楽天株はその後に急落。6月21日には500円台を切り、同28日は上場来安値の466円をつけた。

6月30日の終値は499円。取得時の50%に当たる573円弱を下回り、2024年3月期第1四半期(4〜6月期)に楽天株の評価損計上が確実になり、850億円の損失計上を余儀なくされた。

現時点では「巨額減損(仮)」

850億円の損失計上を発表した一方で、日本郵政は通期純益予想を期初の2400億円のままで据え置いた。

東証には予想修正ルールがある。利益なら30%以上変化しそうなら、業績修正発表をしなければならない。日本郵政の今期純益予想は2400億円。その30%は720億円だから、850億円の損失計上は修正ルールに抵触しそうだ。通期予想を変えない理由を、日本郵政は6月30日のリリースでこう書いている。

「四半期における有価証券の評価方法は洗い替え方式を採用しており、減損処理に基づく有価証券評価損の額を第2四半期の期初に戻し入れます。そのため当該有価証券(=楽天株)の時価の状況によっては、有価証券評価損を計上しない場合もあることから、2024年3月期の通期業績予想は据え置くものといたします」

帳簿価格で1株1145円で計上していた楽天株は、6月30日にいったん1株499円に評価額を見直したが、7月1日に再び元に戻した。これを「洗い替え」という。第1四半期末の6月30日に499円まで下げた時価評価を、第2四半期初の翌日7月1日に1145円まで再び戻したのだ。

次ページなぜ大型投資で失敗が続くのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事