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赤字事業だけ残った企業が見出した再建への道 危機から5年、ソフト開発企業が再上場に挑む

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5年前に経営危機に陥り、主力事業の売却を余儀なくされたソフト開発会社が再成長に挑もうとしている。

ワークスアプリケーションズの秦修CEO。ソフトウェア業界の経験はなかったが、創業者が去った後の再建を主導した(撮影:梅谷秀司)
企業向けソフトウェア開発のワークスアプリケーションズ。1996年の設立から5年で上場を果たし、国産のERP(統合基幹業務システム)で急成長した企業だ。2010年代半ばには年間1000人超の採用など拡大路線に走った。だが、新しいERPの開発遅延をきっかけに2017年ごろから業績が急悪化、一時は債務超過に陥った。
窮地の際に選択したのが、主力事業の売却だった。2019年8月に人事給与ソフト(HR)部門を分離、アメリカの投資ファンドに約1000億円で売却した。同年10月には創業者の牧野正幸氏が退任。それでも業績は厳しく、営業赤字が続いた。いわば不採算事業だけが残された格好だった。
HR部門を承継した企業は今年3月、別のファンドに約3500億円で売却され、業界で話題を呼んだ。その企業価値はおよそ3年半で3.5倍に膨らんだ計算になる。
では、ワークスアプリケーションズはその後どうなったのか?秦修・最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

再建で最優先したのは「製品開発」

――会社の現状は?

今期(2023年6月期)は連結ベースで約5億円の営業黒字となる見込みで、再建フェーズは終わった。大企業を中心にデジタル化やペーパーレス化が進んでおり、当社の手がける会計を中心としたERP、グループウエアとも伸びている。再成長の軌道に乗ったという手ごたえを感じている。

――HR部門を分離した後は厳しい業績でした。

当時は会計とSCM(サプライチェーンマネジメント)領域の新しいERPを開発中で、顧客に迷惑をかけずに開発を完遂するには、主力事業の売却しか道がなかった。

会計の1号案件を2020年2月に、SCMの1号案件を2021年4月に無事リリースした。より簡単に導入できるSaaS型の新製品も発表した。当初は開発費が先行して苦しかったが、製品の軌道化とともに赤字は縮小した。

事業売却で得た資金で200億円超の借入金を全額返済した。また製品開発の遅延で抱えていた2件の訴訟も、2022年6月期中に解決できた。当初から再建に5年かかると思っていたが、ほぼ想定どおりに進められた。

――再建ではさまざまなことを行わなければなりません。どのように優先順位を付けたのですか?

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