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株主還元下げ、合成メタン、洋上風力に本格投資 笹山晋一・東京ガス社長が語る脱炭素戦略

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4月に東京ガス社長に就任した笹山晋一氏は、再生エネルギーを活用して製造した合成メタン(eメタン)や浮体式洋上風力発電の実用化に手応えがあるとし、それらを通じて2050年カーボンニュートラルを実現させると述べた。

アメリカ・ルイジアナ州のキャメロンLNG基地。日本のeメタン輸入に際して活用が検討されている
LNG(液化天然ガス)の安定供給やガスエネルギーの脱炭素化など、大きな課題に直面する東京ガス。4月に社長に就任した笹山晋一氏にインタビューした。


――前2023年3月期の連結純利益は2809億円と、これまでの過去最高(2016年3月期の1119億円)を大幅に更新しました。ロシアのウクライナ侵攻を機に液化天然ガス(LNG)価格が高騰する中、いったいなぜ巨額の利益を稼ぎ出せたのでしょうか。

エネルギー価格の高騰が続く中、需要期の冬場に向けてLNG在庫を厚めに持つなど、安全サイドに立った事業運営を続けてきた。その結果として、急騰したスポット価格での調達をほとんどせず済んだことなど、さまざまな要因が重なって好業績につながった。

ただし今2024年3月期はそうした特殊要因はなくなり、(1000億円と)平年並みの利益水準に落ち着くと予想している。今後、成長投資を通じて2030年に利益水準2000億円を目指す。

――東京ガスをはじめとする都市ガス各社には、ガス料金を抑制するために政府から多額の財政資金が提供され、負担軽減措置が適用されました。その一方でこれだけ多額利益を挙げているとなると、自社の努力による料金抑制について十分だったのか疑問も生じます。

利益をどのようにお客様に還元すべきかについては、社内で議論してきた。原料高を踏まえて2022年7月にガス料金の上限価格を引き上げると発表した際も、一気に引き上げるのではなく、同10月検針分から半年をかけて段階的に引き上げた。

また、家庭向けなど低圧電気料金については今年6月に値上げ方針を発表したが、使用量が大きく増える夏場を避けて10月検針分から適用を開始する配慮もしている。

報道機関には「値下げに否定的」と書かれる一方、こうした負担軽減策などの自助努力についてはあまり取り上げてもらえず、やや残念な気持ちだ。

LNG市場の今後は予断を許さない

――エネルギーの安定供給に関しては、ロシア極東サハリン2プロジェクトからのLNG輸入継続をめぐり、薄氷を踏む状況が続きました。オーストラリアでもLNGの輸出規制問題が一時持ち上がりました。

国との協議のうえで、サハリン2からの輸入については、エネルギー安定供給のうえで継続が必要だという判断をした。今後もいつ何時、何が起きるかわからないので、国と連携して備えをしていきたい。

オーストラリアの件については、当社の主体である長期契約に直ちに影響が出ることはないと考えている。とはいえ、契約形態も多様化しつつあるので、安定供給に支障が起こらないようにしっかり目配りしていきたい。

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