──5月の決算説明会で「企業努力が結果として反映されず、業界が疲弊している」と発言されていました。どういう意味ですか。
業界には数え切れないほどの壁がある。まず、毎年の薬価改定だ。薬価改定とは、国が決めた薬の価格と、実際に医療機関などが購入した価格との乖離額を縮小し、次の薬価として反映する仕組みだ。
われわれはなるべくその乖離幅を小さくしようと、値引きを抑える努力をしている。だが実際には、ほかのメーカーが値引きした価格を加えた平均値が採用されるため、努力のかいがまったくない。薬価改定はもともと2年に1回だったが、2021年から毎年行われることになったため、年々薬価が下がるという不合理な状況にある。
不採算な品目については原価を再算定し、薬価を引き上げるルールもあるのだが、仕組みが後発薬の実態に即していないという問題がある。1錠当たりの流通経費を計算する際、薬価から消費税を引いた額に対して約7%とするのだが、これは先発薬を含めた平均値。1錠約6円という低薬価品もある後発薬では、1錠当たり20%強を流通経費として払っているケースもある。でも7%で計算せいと言われたら、どう計算しても不採算な品目とは見なされない。現在数量ベースで医薬品全体の50%を占める後発薬に合った計算ルールを設けないといけない。
製薬業界全体がもたなくなる
──後発薬を取り巻く産業構造の課題について、厚生労働省が開催した有識者検討会で昨年から議論が行われ、「骨太の方針」でも言及されました。
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