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サワイGHD会長「薬のさらなる供給不安ありうる」 現行の薬価制度に問題、各社の設備投資必須

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サワイグループホールディングス会長の澤井光郎氏
澤井光郎(さわい・みつお)/サワイグループホールディングス 会長 1956年生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科修了、82年、現協和キリン入社。89年沢井製薬入社、2005年専務。08年6月社長、20年6月から会長。23年6月の株主総会後HD社長を兼務へ。(撮影:今井康一)
ジェネリック薬(後発薬)業界ではここ数年、一部企業の不正を発端に出荷調整による品不足が続いている。日医工の不正により業界トップとなったサワイグループホールディングス(HD)は、6月末に澤井光郎会長が社長兼務となるなど、社内体制を大きく変更している。澤井会長にその理由や、業界の課題について聞いた。

──5月の決算説明会で「企業努力が結果として反映されず、業界が疲弊している」と発言されていました。どういう意味ですか。

業界には数え切れないほどの壁がある。まず、毎年の薬価改定だ。薬価改定とは、国が決めた薬の価格と、実際に医療機関などが購入した価格との乖離額を縮小し、次の薬価として反映する仕組みだ。

われわれはなるべくその乖離幅を小さくしようと、値引きを抑える努力をしている。だが実際には、ほかのメーカーが値引きした価格を加えた平均値が採用されるため、努力のかいがまったくない。薬価改定はもともと2年に1回だったが、2021年から毎年行われることになったため、年々薬価が下がるという不合理な状況にある。

不採算な品目については原価を再算定し、薬価を引き上げるルールもあるのだが、仕組みが後発薬の実態に即していないという問題がある。1錠当たりの流通経費を計算する際、薬価から消費税を引いた額に対して約7%とするのだが、これは先発薬を含めた平均値。1錠約6円という低薬価品もある後発薬では、1錠当たり20%強を流通経費として払っているケースもある。でも7%で計算せいと言われたら、どう計算しても不採算な品目とは見なされない。現在数量ベースで医薬品全体の50%を占める後発薬に合った計算ルールを設けないといけない。

製薬業界全体がもたなくなる

──後発薬を取り巻く産業構造の課題について、厚生労働省が開催した有識者検討会で昨年から議論が行われ、「骨太の方針」でも言及されました。

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