学級会とどう違う?深見太一「クラス会議」で学級経営がうまくいく理由 心理的安全性の高いクラスづくりのポイント
「これなら自分にもできるかもしれない」と思い、試行錯誤しながらも実践を重ねるうちに、「担任である自分がすべてを仕切るのではなく、子どもを信じて任せたほうが、学級経営はうまくいく」ということを実感しました。
以来、8年以上にわたって毎年約30回クラス会議を開き、子どもたちの力に驚かされたり、感動したりしながら“一人ひとりの居場所があるクラスづくり”が実現できたと自負しています。公立小学校を退職後、それまでの経験を踏まえクラス会議の意義やノウハウを伝える「クラス会議講師」として活動を始め、全国各地で講座を開催しています。
クラス会議で子どもの悩みが解決することも
――クラス会議は、どのように行うのでしょうか。
一例を挙げると、まずは子どもたちに、クラスで起きた問題を自分たちで解決できるようにするために、クラス会議を導入することを伝えます。司会や書記役は立候補制が望ましいですが、最初は教員がロールモデルとして司会や書記役の見本になります。会議のルールは子どもたちと一緒に決めます。教員が決めたルールよりも自分たちで決めたルールのほうが、子どもたちは真剣に守ろうとします。
次に、議題集めです。「教室の後ろがいつも汚れている」「雨の日に教室で楽しく過ごす方法を知りたい」などクラスの課題、「親がゲームを買ってくれない」「算数が苦手で勉強法を知りたい」など個人の悩み、「運動会の全員リレーの走る順番を決めたい」といった行事やイベントのことなど、誰かを攻撃するような内容でなければどんなものでもOKとします。
そして、クラス会議をスムーズに進めるために、よい聞き方や話し方を練習し、1回目のクラス会議をスタート。クラス会議は机を端に寄せ、いすだけで輪になり座って行います。特別活動の時間を活用して1時間(45分間)で取り組み、週に1回のペースで定期的に行うことで、子どもたちも徐々に慣れていきます。
これはあくまでも一例であり、実践する先生の裁量で自由に組み立て進めることができます。
ハッピーサンキューナイス(15分)
・ 机を端に寄せて、いすだけで輪をつくり座る。
・ うれしかったこと、いいね!と思ったことなどを一人ずつみんなに伝える。
振り返り(5分)
・前回のクラス会議の議題が解決できたかみんなで確認する。
議題共有(5分)
・ 司会が議題を読み上げ、書記が黒板に議題を書く。
・ 議題提案者が詳しく説明する。
・ 参加者から議題提案者に質問をする。
話し合い(15分)
・ ペアやグループで話し合い、解決策を出し合う。
・ 全員の前で解決策を発表し合い、解決策を絞って決める。
まとめ(5分)
・ 司会、副司会はみんなのよかったところを伝える。
・ 時間がある場合は、一人ずつ感想を述べる。
出所:『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』(学陽書房)
――クラス会議は、学級会とはどこが異なるのでしょうか。クラス会議を重ねることで、子どもたちにどのような変化が見られますか?
授業の延長のような形やコの字形で全員が同じ方向を向いて話し合う学級会は、ややもすると形式的で、意見を発表する子が学級委員や声の大きい子に偏ってしまいがちです。クラス会議は、みんなで輪になり最初に全員が一言ずつ話す機会があるため、自由でフランクな雰囲気が生まれ、本音で話したり、自分と異なる意見を受け入れたりしながら対話が進んでいきやすいです。