子どもの自殺が過去最多、「24hチャット相談」の現場から見る課題と必要な対策 大空幸星「1人1台端末の活用、文科省が主導を」

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子どもにとって必要なのは「問題を解決してくれる人」ではなく、「受け止めてくれる存在」だと大空氏は語る。

「生きるうえで必ず悩みは生じるもの。だからこそ、その場しのぎの応急処置ではなく、自立して歩んでいけるよう、寄り添って導く伴走型支援をすることが、周囲の人間や私たちのような第三者機関の役目だと思っています。しかし、出生数が減っているとはいえ、私たちもすべての子どもに対応する窓口をつくることは不可能です。私自身、特殊な環境で育っていますが、やはり学校や家庭に子どもを受け止め、寄り添う大人がいることが理想だと思います」

しかし、その子どもに寄り添う大人の不安や孤独も課題となっているのが現状だ。

「誰かに頼れることが当たり前である社会にしなければいけませんが、家庭を安全な場所にすることも絶対に諦めてはいけません。大人が抱える不安は子どもに伝わっていくもの。親世代の孤独や孤立に寄り添うことも、結果的には子どもに寄り添うことにつながると考えています」

大空氏が政府・与野党に孤独対策の提言を行ったことを機に、2021年の菅義偉政権時に孤立・孤独担当大臣が新設された。23年5月末には孤立・孤独対策推進法も成立、対策は強化される見通しだ。厳しさを増す社会情勢の中、誰もが孤独や不安に追い詰められる可能性を秘めている。そのシワ寄せが弱い存在である子どもたちを追い詰める前に、しっかりとリーチできる対策が求められている。

大空幸星(おおぞら・こうき)
NPO法人あなたのいばしょ 理事長
1988年愛媛県松山市生まれ。2022年慶応大学総合政策学部卒業。大学在学中に「信頼できる人に確実にアクセスできる社会の実現」と「望まない孤独の根絶」を目的に、同NPO法人を設立。孤独対策、自殺対策をテーマに活動。内閣官房 孤独・孤立の実態把握に関する研究会構成員、こども家庭庁 こども家庭審議会 こどもの居場所部会委員、東京都こども未来会議委員などを務める。著書に『望まない孤独』(扶桑社新書)、『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは、必ずあるから』(河出書房新社)

・厚生労働省のウェブサイト「まもろうよこころ」は、相談窓口の情報がまとめられている

(文:吉田渓、撮影:今井康一)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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