キヤノンは4月中に全拠点が復旧へ。ただフル稼働は当面先、デジカメ部品調達の不安も残る【震災関連速報】

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キヤノンは4月中に全拠点が復旧へ。ただフル稼働は当面先、デジカメ部品調達の不安も残る【震災関連速報】

キヤノンは4日、東日本大地震の影響で停止していたすべての事業所・グループ会社
が、4月末には完全復旧する見込みだと発表した。操業停止が長引けば、需要旺盛なデジタルカメラの生産に大打撃となる懸念があったが、ひとまず最悪の事態は回避できた。とはいえ、フル稼働にはほど遠く、予断を許さない状況が続く。

操業を停止していた拠点は、プリンタ部品を生産する福島キヤノン(福島県福島市)など複数あったが、とくに影響が懸念されていたのは、主力であるデジタルカメラの生産拠点だった。

デジタルカメラ用レンズを生産する宇都宮工場(栃木県宇都宮市)は、一部天井が崩れ落ちるなどの損壊で、操業停止を強いられた。また、コンデンサーやコネクターなどの電子部品の供給が滞った影響により、一眼レフやコンパクトカメラを生産する大分キヤノン(大分県国東市)や長崎キヤノン(長崎県波佐見町)も操業を停止していた。

その後、全社をあげて復旧活動に取り組んだ結果、一部の事業所が順次操業を再開している。断続的な生産ではあるものの、大分キヤノンが4月1日から、長崎キヤノンが3月30日から再開した。宇都宮工場も4月中旬には活動を開始できそうだ(詳細は下記参照)。

工場が復旧し始めたとはいえ、部品調達面での不安は残る。現在は調達先からの供給が完全に戻ったわけではなく、数少ない在庫で当面をしのいでいる状態のようだ。

もともと、キヤノンは部品の内製化を促進していたが、一部の調達先の被災が足かせとなった。サプライチェーンマネージメントを浸透させ、在庫抑制を徹底していた企業としての強みも、今回に限っては“あだ”となった側面がある。同社は今後、海外を含めた調達先の分散化を検討していくようだ。東京電力による計画停電の影響も懸念されるため、西日本の工場での生産を増やすことも、検討課題の1つになりそうだ。


1.既に操業を再開している拠点
・取手事業所(茨城県取手市)映像事務機など 再開3月18日
・阿見事業所(茨城県稲敷市)液晶露光装置など 再開3月17日 
・宇都宮事業所 光学技術研究所(栃木県宇都宮市)光学技術研究開発 再開3月22日
・キヤノンプレシジョン(青森県弘前市)プリンタ部品など 再開3月23日
・キヤノン化成 筑波事業所(茨城県つくば市)再開3月22日
・岩間事業所(茨城県笠間市) 再開3月28日
・福島キヤノン(福島県福島市)プリンタ部品など 再開3月22日
・キヤノンモールド(茨城県笠間市)金型の設計・製作など 再開3月22日
・大分キヤノン(大分県国東市) 再開4月1日
・長崎キヤノン(長崎県波佐見町)再開3月30日 

2.今後再開予定
・宇都宮工場(栃木県宇都宮市)デジタルカメラ用レンズ 再開4月中旬予定
・宇都宮光学機器事業所(栃木県宇都宮市)半導体製造装置など  再開4月中旬予定
・キヤノンオプトロン(茨城県結城市)光学結晶など 再開4月初旬予定
 

(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)

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