新品川区長・森澤恭子、所得制限なしの「子育て3つの無償化」に込めた思い 子ども一人ひとりに合わせ多様な学びの実現へ
現在、子どもと学校を取り巻く環境は、複雑かつ多様化しており、それによって先生たちの負担が大きくなっています。こうした中、先生が一人ひとりの子どもに向き合っていくにはどうすればいいのかという課題意識があります。
私も小学生4年生と6年生の子どもがいますが、先生たちは本当に大変な思いをされていると感じます。1クラス30人強の児童生徒を一人ひとり見ていくのは、どうしても限界があります。そこをサポートする人も必要ですし、特別な支援が必要なお子さんについても適切な支援体制が欠かせません。
また、全国的な課題である不登校やいじめは、区内でも相談が多い。とくに不登校は、オンラインの活用や、フリースクールとの連携など、多様な学びを保証する工夫をもっとしていかなければいけないと考えています。
学校の意義も問い直す必要があるでしょう。例えばオンラインではできない、体験や交流を通じた学びはやはり学校にしかできないと思うのです。今後、学校の先生が何に特化していくのかということも考えながら、体制を整えていきたいと思っています。
今や学校の課題を学校だけで解決することが難しく、地域の力や福祉の部門、外部人材などと連携して取り組んでいくことも重要です。この4月から新たに就任した伊﨑みゆき教育長は、品川区の職員として子ども・子育て分野を経験し、福祉や地域振興の部長などを務めてきた人物ですので、外部との連携を含めた取り組みに期待しています。
――今後、実現したい子育て支援や教育施策についてお聞かせください。
やはり子ども一人ひとりに合わせた多様な学びを実現していくことが重要です。ChatGPTなども出てきた今、子どもたちにどのような力を身に付けさせるのかを見据えたうえでの教育が必要だと思うので、時代に合わせたやり方で取り組んでいくべきだと考えています。品川区は小中一貫教育を先進的に進めてきましたが、そうした連携のよさを生かした教育もやっていきたいですね。
また、現役の子育て世代は、教育や学校に対して思うところや要望をたくさんお持ちなのですが、日頃お忙しいので接点を持つことが難しい。海外で取り入れられている住民参加型のデジタルプラットフォームを参考に、意見を吸い上げる仕組みをつくりたいです。
私は区長選の際に100の政策を掲げました。それを一つひとつ実行し、民意に応えられるよう努めていきたいと思っています。

品川区長
2002年慶応大学法学部政治学科卒業。日本テレビ報道局記者、森ビル広報、ベンチャー企業などの勤務を経て、17年東京都議会議員選挙当選(2期)。22年品川区長選挙にて再選挙の末当選し、現職
(文:國貞文隆、撮影:梅谷秀司)
東洋経済education × ICT編集部
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