茨城県が校長を10名公募、4年連続「教員免許・教職経験不問」で人材採用する訳 インド出身の元区議会議員や電通マンが活躍

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昨年、たった5名の募集に1673人が殺到した茨城県の校長公募。教員免許や教職経験を不問としたため、大企業の管理職や起業家、国家公務員など幅広い業種、職種から多くの人材が集まった。実際に採用された3名は現場で活躍し始めているが、茨城県は今年も10名の校長公募を実施する。それはなぜなのか、茨城県で進む高等学校を中心とする改革を取材した。

たった5名の募集に1673人が殺到、採用されたのはどんな人?

茨城県が、今年も民間出身者を対象に校長を公募する。教員免許は不問で、採用人数は10名を予定。採用後は、県内の中高一貫校・専門高校で副校長として1年経験を積んだ後、2年目からは校長として変革に取り組んでもらうことを期待している。任期は4年だ。

実は、茨城県が校長を公募するのはこれが初めてではない。2019年に3人(うち1人は現役の校長)、21年にも3人の校長を公募で採用しており、採用に至らなかった20年も含めると今年で4回目となる。とくにすごかったのは昨年だ。たった5名の募集に対し1673人が殺到。334倍の倍率をくぐり抜けた3人が、現在は副校長としてそれぞれの持ち味を発揮している。

いったいどんな人物が採用されたのか。インド出身で12年に日本に帰化、銀行やIT企業での勤務経験があり元東京都区議会議員でもあるプラニク・ヨゲンドラ氏(45歳)、電通のクリエーティブディレクターとして活躍する福田崇氏(50歳)、文部科学省や総務省に勤務、東京大学の研究推進部長や愛媛県教育委員会の保健スポーツ課長の役職を歴任した御厩祐司氏(52歳)と、これまでのキャリアは実にさまざまだ。

左からプラニク・ヨゲンドラ氏、福田崇氏、御厩祐司氏

昨年の採用では、マネジメント経験のある大企業の管理職や起業家、国家公務員など幅広い業種、職種から多くの人材が集まったが、この3名はこれまでの経験、実績はもちろん、教育に対するビジョンが突出していたという。

今は、それぞれ土浦第一高等学校・附属中学校、水海道第一高等学校・附属中学校、水戸第一高等学校・附属中学校に配属され、学校現場の管理職の仕事を覚えながら、それぞれがすでにユニークな取り組みを始めている。茨城県教育委員会・教育長の森作宜民氏はこう話す。

「22年度から校長公募による副校長が配置された3校では、新たな風が吹き込まれたことで、生徒や教員の意識に変化が生まれてきている。副校長が直接生徒に探究活動のための論文作成やプレゼンテーションのポイントについて指導をしたり、民間出身の人脈を生かして外部人材を招聘したワークショップを開催するなど、これまでにない新たな取り組みは生徒からも好評を得ています」

今や公立中高一貫校の数が全国1位

なぜ茨城県は、こんなにも校長公募に積極的なのか。そこには少子化をはじめ、学校教育を取り巻く環境や社会の変化に対応していかなければならないという強い危機感がある。そこで早くから「県立高等学校改革プラン」を策定し、多様化する教育ニーズに応える施策を打ってきた。

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