茨城県が校長を10名公募、4年連続「教員免許・教職経験不問」で人材採用する訳 インド出身の元区議会議員や電通マンが活躍
その1つに県立高校の中高一貫校化がある。県内トップ校である土浦第一、水戸第一を含め22年度までに13校を中高一貫校化し、今や公立の中高一貫校数で全国1位となっている。「生徒や保護者から中高一貫教育校をつくってほしいというニーズが高く設置を進めてきた」と話すのは、茨城県教育庁学校教育部 高校教育課 高校教育改革推進室の田中豪一氏だ。
「当初、茨城県には中等教育学校の並木、古河と、併設型の日立第一の3つの中高一貫校がありましたが、ここで探究活動を重視した教育を行った結果、進学実績が大きく伸びました。『これはいけるぞ』という手応えを感じ、県内どこに住んでいても通うことができるように中高一貫教育校の設置を進めてきました」
入試倍率も3〜4倍と高い学校が多く、保護者にも好意的に受け止められているといえるだろう。一方で「倍率が高くて狭き門」という声もあるが、土浦第一、水戸第一、日立第一などは高校での募集も行っているため、受験は高校でと考えている家庭も慌てる必要はない。
23年度に「つくばサイエンス高校」と「IT未来高校」を開校
こうした改革をさらに推進するのが校長公募というわけだ。さらに23年度、茨城県は新たに「つくばサイエンス高等学校」と「IT未来高等学校」を開校する。AIやIoTなどの最先端の分野で活躍できるデジタル人材の育成を目指すという。

つくばサイエンス高校は、現在のつくば工科高校を改変。機械科、ロボット工学科、電気電子科、建築技術科の4つの学科をなくして新たに科学技術科を設置する(240名募集)。

「工業高校のあり方も時代の変化に対応する必要があります。つくば市は、つくばエクスプレス沿線にあり県内でも人口が増加しているエリアです。大学進学率も高く、従来の工業高校では地域のニーズに応えられない。つくば市に集積する大学や研究所と連携するなどリッチな環境を生かして、科学教育のモデル校を目指します」(田中氏)
これまでの工業高校が担ってきた職業人を育てるというよりは、大学進学のニーズに応えつつエンジニアや研究者、起業家を育てることを考えており、「科学好きな子、本当に科学をやりたい子を集めて、新しい価値を創造する人間を育てる」(田中氏)という。
もともと工業高校のため、今も多くの専門機材がそろっているが、今後は電子顕微鏡やVR機械なども導入予定だ。2年生では化学・生物、ロボット、情報、建築と4つの領域に分かれ、大学のゼミさながらの課題研究や実習、探究活動を進める。すでに筑波大学や茨城大学のほか、東京電機大学や東京農業大学、日本女子大学、東京情報大学との連携が決まっており、大学の先生に講義、また大学院生に生徒へのアドバイスなどを担当してもらう。