中学生の保護者300人調査!部活動の地域移行「賛成の親」4割、残り6割の本音 先生の負担は知っているが親の負担増を懸念も

休日の「部活動の地域移行」25年度末までに達成の目標は削除
中学校では当たり前のように行われてきた部活動。だが、教員の長時間労働問題を深刻化させる大きな要因と指摘されている。さらに、生徒数の減少で、野球やサッカーなどの競技チームをつくるのに必要な部員数を学校単位では満たすことができず、複数校の合同チームとして大会に出場するケースも出てきている。
これまでのような部活動を続けることが難しくなる中、「持続可能な」部活動に向けて、中央教育審議会や国会からは、部活動を学校単位の取り組みから地域単位の取り組みにしていく「部活動の地域移行」の方針が示された。運動部を管轄するスポーツ庁、文化部を管轄する文化庁の有識者会議は、2023年度から3年間を「改革集中期間」として、まず休日の部活動の地域移行を25年度末までをメドに実現、平日についても地域の実情に応じた移行の推進を提言していた。
しかし、両庁が昨年12月にまとめた最新の「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」では、この25年度末の“達成期限”がなくなった。当初案は、有識者会議の提言に沿って“達成期限”があったが、パブリックコメントの意見などを受けて削除。「改革集中期間」は「改革推進期間」に改められるなど、達成期限に関する表現はトーンダウンした。
永岡桂子文部科学相は昨年12月の記者会見で、23年度からの部活動地域移行の取り組みはしっかり進めるとしたうえで、達成目標時期については「議論、検討しながら進める」「今現在、25年度末に終了というようなことは考えていない」と述べた。
ガイドラインの当初案に対するパブリックコメントを、スポーツ庁などがまとめた「『学校部活動(中略)総合的なガイドライン(案)』に関する主な意見の概要」では、冒頭で「生徒や保護者の不安に丁寧に応え、顧問の教職員を含めた合意形成を図った上で移行すべきであって、拙速に移行するものではない。自治体としても、3年間の移行達成は現実的に難しい」という意見を取り上げている。
25年度末の休日部活動の地域移行達成については、現場からも、教員以外の指導者を確保するのが困難なことに加えて、教員の“ボランティア”に支えられてきた指導を外部委託することで見込まれる保護者の負担増に対して理解が得られるのか、といった懐疑的な声があったのも事実だ。
では、生徒の保護者は部活動についてどう考えているのだろうか。
現状でも部活動に一定の負担感を感じている
まず、部活動の現状から見てみる。生徒数の減少により廃部となる部活動も増えていて、2017年度の「運動部活動等に関する実態調査報告書」(スポーツ庁)では、16年度以降に運動部(体育会系)の1部以上の休廃部があったと答えた公私立中学校は13.9%あり、多様な種類の部活動を存続することは難しくなっているが、今回の調査で「子どもが入りたい部が中学校にあった」は79.7%、「なかった」は11.7%だった。