スポーツ庁シンポジウム、部活の地域移行で「日本のスポーツ」が一変する訳 運動部活動の検討会議、提言案の実現に課題も

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中学校などの部活動を学校単位の活動から地域単位の活動に移行するための検討が急ピッチで進んでいる。スポーツ庁は、有識者会議「運動部活動の地域移行に関する検討会議」が4月に提言案を公表したことを受けて、5月27日に「運動部活動の地域移行に関するオンラインシンポジウム」を開催した。2023年度から25年度末までの3年間を「改革集中期間」とし、まず休日の部活動から段階的に地域移行するという。そうなれば「運動部活動における歴史的な転換」であり、今後日本のスポーツのあり方が一変する可能性があるが、実現にはさまざまな課題がありそうだ。

今回シンポジウムに登壇したのは、スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する検討会議」座長で日本学校体育研究連合会会長の友添秀則氏、『部活動の社会学』(岩波書店)などの著書があり、持続可能な部活動・教職の必要性を訴えてきた名古屋大学大学院教授の内田良氏、国の地域運動部活動の実証モデル事業を進める自治体の1つ、奈良県生駒市のスポーツ振興課長で検討会議委員の西政仁氏、スポーツ庁政策課長 今井裕一氏の4人。途中から柔道家でシドニー五輪金メダリストの井上康生氏も加わって議論が進められた。

5月27日に開催された「運動部活動の地域移行に関するオンラインシンポジウム」では、検討会議座長の友添氏(左上)、スポーツ庁政策課長の今井氏(左下)、奈良県生駒市スポーツ振興課長の西氏(右上)、名古屋大学大学院教授の内田氏(右下)が登壇した
(写真:「運動部活動の地域移行に関するオンラインシンポジウム」より)

冒頭では、検討会議事務局を務めるスポーツ庁の今井氏から、このたび出された提言案の説明があった。

今井裕一(いまい・ゆういち)
スポーツ庁政策課長
(写真:「運動部活動の地域移行に関するオンラインシンポジウム」より)

部活動改革の背景には、少子化に伴う生徒数減少により学校単位では部員不足のためにチーム編成もままならず活動維持が困難になりつつあること、指導する教員の負担軽減という働き方改革の2つの観点があるという。

改革の方向性としては、中学校の部活動の実施主体を、学校から地域スポーツの担い手としてスポーツ庁が育成してきた全国約3600の総合型地域スポーツクラブをはじめ、クラブチーム、民間事業者といった地域のスポーツ団体に移す方針が示されている。

検討会議では、現在の形で部活動を維持することは困難で、地域移行は喫緊の課題との認識から、2023年度から25年度末までの3年間を「改革集中期間」に指定。まず休日の部活動から、さらに地域の実情に応じて、可能であれば平日の部活動についても段階的に地域移行することを提言している。

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