"名門"恵泉女学園大が「募集停止」に至った背景 「早慶MARCH」は年々、女子学生が増えている

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東京女学館大は2002年に開学したが、定員割れが続き、2013年で大学経営を断念して募集を停止し、2017年に閉学している。

女子大離れの原因はさまざまだ。単純に「男子と学びたい」という高校生が多くなったという面もあるだろうが、少子化で私立男子校・女子校の男女共学化が進み、女子大に対するイメージが湧かなくなった、とみる高校教員もいる。

そして、「女子大だから」というより、「女子大には学びたい学部がなかったから」という理由も大きい。いま、法、経済、経営、商、政策などの社会科学系学部で学びたいという学生が多い。社会で女性が活躍する場が増えたことによって、経済や会計を学んで企業でさまざまなビジネスに挑戦したい、法律を習得して公務員や法曹で世の中に役立ちたい、と思う女子高校生が増えたからだ。

恵泉女学園大学=同大ホームページから

早慶MARCHは年々、女子学生が増えている

早慶MARCHは年々、女子学生が増えており、その原動力となったのは、女子の比率が高くなった社会科学系学部である。2022年、学部ごとの女子比率をみると、青山学院大法学部48.9%、早稲田大政治経済学部34.5%、立教大経営学部50.5%、中央大商学部34.8%、慶應義塾大総合政策学部40.9%となっており(各大学ウェブサイトから作成)、いずれも5年前に比べると上昇している。2023年、東京大文科一類(主に法学部進学コース)の女子合格者が初めて3割を超えたのも、象徴的といえよう。

残念なことに、女子大にはこうした社会科学系学部がほとんどない。

恵泉女学園大は人文、人間社会の2学部で、たとえば将来、自分で会社をつくりたいと夢を抱く女子高校生にすれば、選択肢には入りにくくなる。これも「社会情勢の変化」といえよう。

これに対応するために学部設置に動いた女子大がある。京都女子大法学部、共立女子大ビジネス学部、武庫川女子大経営学部、昭和女子大グローバルビジネス学部などだ。

また、社会科学系ではなく、看護、薬学、医療、福祉など専門職養成に特化した学部をつくった女子大もあった。だが、こうした分野でも思うように学生が集まらないところがある。

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