「縮小は必至?」人事部門の既存業務に淘汰の嵐 社員ににらみを利かせる「人事屋」は過去の人に

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縮小

一方、ほとんど回答者が人事部門の縮小や消滅を予想していたのに対し、人事部門がさらに業務・陣容を拡大していくという予想が、少数ながらありました。

「AIが浸透するほど、人でなければ提供できない人事関連サービスがクローズアップされるようになると思います。たとえば、健康管理、メンタルヘルスケア、福利厚生、キャリア支援などは、昔は人事部門では傍流の仕事だったようですが、今後は中核業務になっていくのではないでしょうか」(商社・担当者)

コンサルタントが人事担当者のライバルに?

最後に、最も少なかった「なくなる」という回答。実際になくなるという予測ではなく、人事部門を解体するつもりで抜本的な改革に取り組む必要があるという危機感を表明していました。

「社内の各事業部門は、事業環境の変化に対応して猛烈な勢いで改革を進めているのに、人事部門には人事考課や異動、あるいは組合対策で社員ににらみを利かせようという昔ながらの“人事屋”が多すぎます。人事部門が10年後もいまと同じ仕事をやっていて、それが許されているようなら、わが社はちょっとお先真っ暗です」(機械・マネジャー)

「人事部門には、向こう5年以内にすべての人事関連業務をなくすか、事業部門や外注先に移管するように、と指示しました。どうしても残したい業務があったら話は聞くから説明しろ、と言っていますが、今のところまともな説明は上がってきていません。本当になくなるかどうか、楽しみにしています」(サービス・役員)

では、激変するこれからの人事部門において、人事担当者にはどういう能力・スキルが求められるのでしょうか。

「人事制度や人材戦略を企画する機能は必須で、今後の人事部門の中核業務になるでしょう。人事担当者がこの機能を果たすには、自社の経営戦略への深い理解と戦略立案能力が求められます。もっとも、社外の人事コンサルタントを雇えば済むという考え方もあるわけで、今後は人事コンサルタントが人事担当者のライバルになるかもしれません」(金融・部長)

「各部門に人事関連業務を移管すると、各部門にいる人事担当者からの相談に乗ってアドバイスをすることが求められます。人事担当者は、人事の知識だけでなく、各事業部門の事業と人を知る必要があります。ただ当社では、コスト削減で事業所の人事ポストを減らしたため、本社勤務経験しかなく、事業や人を知らない頭でっかちな若手が増えています」(電機・マネジャー)

人事関連の知識だけでなく、全社の経営戦略を知り、各部門の事業や人も知るというのは、かなりハードルが高いこと。社員教育を担っている人事部門の担当者が、実は最も高度な教育を必要としているのかもしれません。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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